幻水の作家な気分

ホーム

〜神々の戦い〜
世界説明
歴史的な流れ

〜ルアージュ〜
世界説明
登場人物
第一部(完)
第二部(完)
第三部(3/?)
第四部(0/∞)
第五部(0/0)
第六部(0/0)
外伝(1)

〜PM〜
登場人物
外伝

自己紹介

掲示板

カウンター設置:2009.11.24
合計:027348
本日:0009 昨日:0016

sei_gensuiをフォローしましょう


Googleボットチェッカー
Yahoo!ボットチェッカー
MSNボットチェッカー

 
ルアージュ 外伝  魔の力

森の奥深く、その村はあり、小さな村ゆえに魔物にいつ襲われるかも知れない村ともいえる。だが、村は一組の夫婦によって守られていた。夫の名は、ラード・フレア、妻の名をレリーナ・フレアといった。
二人は、魔術師であり、帝都の学院を卒業しており、導師の資格すら持っていた。
そんな、二人は娘が生まれると同時に学院を出て、この村に住むようになり、今では、この村の守護者とも言うべき存在であった。
当時は、魔物の襲撃を恐れて暮らしていた村人も、こころなしか明るく見える。
二人の娘も、五歳になり、すでに両親に魔術を教えられていた。娘の名は、エラナ・フレア、後に大魔導師となった彼女である。
その日、エラナは何も無い個室で一人、瞑想を行っていた。
魔術を使うには、集中力が必要だ、雑念があってはならない。それが両親が、彼女に言った言葉だった。
彼女は、それに従い、一日のうち数時間をこの部屋で過ごしている。
今日は、両親は、学院からの呼び出しがあり、学院へ出向いていた。その日は、両親の師である導師が亡くなったとの知らせでもあった為、出向かないわけには行かなかった。
エラナは、今も、いつものように瞑想を続けていた。が、その日は、いつもと何かが違っているようだった。
そこに少女はいた。たった一人、そこは何も無い無の空間だった。
何も無い、あるのはただ、自分だけ。
そこに、もう一人の自分がいた。
「貴方は、だぁれ?」一人のエラナは尋ねた。
「貴方は、だぁれ?」もう一人のエラナも尋ねた。
「私は、エラナ」彼女は言った。
「私は、エラナ」彼女も言った。
「私と一緒」
「私と一緒」
「ここは何処?」
「ここは何処?」
彼女が尋ねれば、彼女も尋ね返した。彼女が言えば、彼女も言った。
しばらくの沈黙の後、彼女が口を開いた。
「何故、貴方がいるの?」
「何故、貴方がいるの?」
「どうして」
「どうして」
『私の世界に・・・』
「貴方は、私?」
「貴方は、私?」
「もう一人の私?」
「もう一人の私?」
「私は、一人よ」
「私は、一人よ」
「でも、二人」
「でも、二人」
『どうして・・・』
少女の足元に、おぼろげか何かが写った。
「私は、私よ、私は一人よ」
「私は、私よ、私は一人よ」
『雑念を持っていては、いかん』
『集中するのよ、余分なことを考えては駄目よ』
父と母が、うつり出てそう言い、消えていった。
『何をしているのだ』
『そのようなことで、どうするのです』
又、父と母が、出てきて、そして消えた。が、二人は先程の二人とは違うような気がした。
「父と母が、四人?」
「父と母が、四人?」
少女の足元に少女が写っていた。
「私が、四人・・・」
「私が、四人・・・」
「私が、四人・・・」
「私が、四人・・・」
足もとに写った少女も、同じように繰り返した。
「貴方は、だぁれ?」
「貴方は、だぁれ?」
「貴方は、だぁれ?」
「貴方は、だぁれ?」
さらに少女が、増えその数は数えることはできない。
「私は、エラナ」
「私は、エラナ」・・・
・・・・・・
・・・「私は、エラナ」
「みんな、一緒」
「みんな、一緒」
・・・
・・・・・・
・・・「みんな、一緒」
『みんな、一緒ね』
『じゃ、私は、だぁ〜れ?』
「私は、エラナ」
「私は、エラナ」・・・
・・・・・・
・・・「私は、エラナ」
「違う」
「違う」・・・
・・・・・・
・・・「違う」
『何が違うの?』一人の彼女を残し尋ねた。
「私は、私よ、他の誰でも無い」
『私も、貴方よ』
「そうかもしれない、貴方は私よ」
『そう、貴方は私よ』
「そう、私よ」
「楽しく遊びましょ」
「こんなことしないでさ」
・・・・・・
「人生、楽しいことが一番よ」
少女達の笑い声が、少女を包み込む。
「でも、私にはわかるの、私達は、寂しいのね。だけど、私はこれを選んだの。御免なさい」
少女の目から涙がこぼれ落ちる。
・・・・・・「なんで、泣いてるの・・・」
「なんで、泣いてるの・・・」・・・
・・・・・・
「なんで、泣いてるの・・・」
『私達まで、泣いてしまうわ』
「私達は、私よ、戻ってきて。私は、自分の決めたことを果たしたいの」
『それは、父や母の為に・・・』
「違うわ、父や母の為じゃないわ。自分自信の為よ」少女ははっきりとそう告げた。
「どうしましょう」
「どうしましょう」・・・
・・・・・・・・・「どうしましょう」
少女達が、二つに別れていた。そして、その数は減っていき、二人の少女となった。
「貴方も、いらっしゃい」
「貴方も、いらっしゃい」
・・・・・・
「貴方は、だぁれ?」
「貴方は、だぁれ?」
「私は、私」
「私は、私」
「私は、一人よ」
「私は、一人よ」
「でも、一人じゃないわ」
「でも、一人じゃないわ」
『みんな、いるのよ』
エラナは、静かに目を開いた。部屋の外が騒がしかった。いつもなら聞こえない、音がした。
エラナが、家を出ると、村が燃えていた。
魔物達が、村を襲っていたのだった。
両親がいない今は、村を守れる人はいない。大切な時に、両親は村にはいなかった。
村を襲っている魔物は、村人を食料とする為に襲っていた。今も又、親しかった村人が喰われている。
彼女は、てくてくと魔物に近付いていった。
「私は、私・・・。私は、一人よ・・・。私は、エラナ・・・」
彼女は、そう呟きながら近付いていった。
「貴方達のしていることは、間違っていないわ。貴方達も、生きているのですもの」
彼女に気が付いた魔物の一匹が彼女に襲いかかった。
「エラナちゃん、逃げて」
村人の声が聞こえた。
彼女は、そっと魔物に触れた。
「御免なさい、私は一人じゃないの。私は、死ぬことはできないの」
次の瞬間、魔物は塵のように崩れ去った。
「私は、私・・・。私は、一人よ・・・。私は、エラナ・・・」
再び、歩みだし次の魔物に近付いていった。
「私は、私の為に戦うの。貴方達は、悪くないわ」
一時間も立つころには、村に魔物の姿は無かった。同時に、村人の姿も誰一人と、いなかった。
彼女の両親が、帰ってきたのは翌日のことだった。
二人は、彼女に何があったのかを尋ねたが、彼女は、ただ、こう言った。
「私は、私・・・。私は、一人よ・・・。私は、エラナ・・・。私は、一人じゃない」
と。

外伝 メニュー

1990-2013 ©seiryu gensui
1995-2013 ©Minstrel Rapsodoz
2008-2013 ©Rapsodoz System Support