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第二部  第八章 帝都決戦


フォーラルが馬族を率いて戻ると帝都ラクーン攻略の軍議が開かれた。
参加するは、皇帝フォーラル・アルスターク、宮廷魔術師エラナ・フレア、黒騎士団長ベネラル・アルスターク、重騎士団長グランテール、馬族族長ボルス・レフォーク、その妻ティアラ・レフォーク、黒騎士団部中隊長サーディン、同じくブラッサム、魔法騎士団副官カリテ、同じくマルシェ、聖王国軍から、聖騎士団長スティール・ヴィズレート、竜騎士団長フェルド・アルシード、天馬騎士団長ラクレーナ・アルシードと主だったものがあつまった。
「では私が考えた陣容を発表します」
エラナはそう言いテーブル上に地図を広げる。

 <リクイド城側>
  先鋒   指揮官:エラナ・フレア       魔法騎士団   2,000騎
                         フレア公爵軍 15,000騎
                         帝国騎兵隊  25,000騎
       副 官:ラフォーレ         神官騎士団  25,000騎
       副 官:カリテ(魔法騎士)
           マルシェ(魔法騎士)
           サイバー・ブラウス(魔法騎士)
           ジェネル・スイーティア(魔法騎士)
           フォード・レイクス(準導師)
           ランフォート・フレア(準導師)
           レイネート・フレア(準導師)
       同 行:フィーラ・ミレニア
           サリナ・フローリア
           スティーナ(エラスティーナ・アルスターク)

  本陣   指揮官:フォーラル・アルスターク  近衛騎士団  25,000騎
       参 謀:セレナ・フレア       魔法騎士団   1,000騎
       副 官:メリア・ルキシード     学院近衛団  10,000騎
       副 官:ラルク・ハーパリン     神官騎士団  25,000騎

  前衛   指揮官:グランテール        重騎士団   50,000騎

  左翼   指揮官:ボルス・レフォーク     馬族     30,000騎
       参 謀:ティアラ・レフォーク

  右翼   指揮官:サンバス・アルト      帝国騎兵隊  25,000騎

  後衛   指揮官:ガレス・レフォート     帝国騎兵隊  25,000騎
       指揮官:ブロウド・フレア      帝国騎兵隊  25,000騎

  輸送部隊 指揮官:ジェランズ・ハーパリン   神官騎士団  25,000騎
                         公爵軍    15,000騎
       参 謀:ラスティーク

 <リスタール城側>
第一部隊 指揮官:ベネラル・アルスターク   黒騎士団   25,000騎
       参 謀:フェーナ
       副 官:サーディン         帝国騎士団  12,500騎
           ブラッサム         帝国騎士団  12,500騎

  第二部隊 指揮官:スティール・ヴィズレート  聖騎士団   25,000騎
                         帝国騎士団  25,000騎

  第三部隊 指揮官:フェルド・アルシード    竜騎士団      100騎
                         帝国騎兵隊  50,000騎

  第四部隊 指揮官:ラクレーナ・アルシード   天馬騎士団   1,000騎
                         帝国騎士団  25,000騎

翌日エラナ率いる先鋒67,000騎が、その翌日リクイド城から約24万、リスタール城から約18万の軍勢が出撃した。総勢50万、騎兵隊、歩兵隊の殆どは他の城、国境の防衛に回っているが、主力部隊の7割ちかい数での出撃である。
「これだけの兵を導入した戦、帝国の歴史始まっていらいですね」
エラスティーナがそうエラナに言う。
「帝国建国のおりの戦でもこれだけの兵力を導入したことはなかったでしょう」
「私が当時率いた軍勢でもこの半数の規模でしたからね」
これに対抗する帝都ラクーンを守るアルウス軍は、騎士団をはじめ多くの民兵を加え70万近い数を集めていた。
「アルウスもよくこれだけの数を集めたものだ。だが数を集めればいいものではない」
先陣として出撃してきたのは、帝国騎士団長オリエスター率いる騎士団5万騎、同じく帝国騎士団長ウイリアム率いる騎士団5万騎、総勢10万騎だった。
「先陣は騎士だけで来ましたな」
副官のカリテがそう言う。
「アルウスも馬鹿ではありませんからね、戦においての先鋒戦の重要さは知っているでしょう」
戦においての先鋒戦は、軍全体の士気にかかわる。両者とも負けるわけにはいかない。
「オリエスターが東、ウイリアムが西に布陣しましたか」
「中央を突破すれば帝都に突撃できはしますが、突撃すれば左右背後から襲うことができる。帝都を囮としていますが、考えられた作戦ですね」
フィーラがそう言う。
「なおかつどちらか片方に軍を差し向ければもう一方が背後をつける。両方それぞれに軍を分ければ数においての有利を得ることができる。たいしたものです」
「どう対抗されますか」
フィーラが尋ねる。
「貴女ならどうします」
エラナは尋ね返す。
「全軍をもって中央突破します。その上でこの先の敵陣まで一気に攻め陣を手に入れます。両軍は陣を手に入れてから相手すればいいでしょう」
「それも悪くない作戦ね。ですが今回はここで陣をはります」
「持久戦に持ち込むのですか」
フィーラが尋ねる。
「敵に私が本陣を待っているように思わせるのが狙いです。そうすれば、向こうから攻めてきてくれるでしょう。あえてこちらから攻めて余分な兵を失う必要はないでしょう」
「エラナの偏屈ぶりは結構有名だからな、疑ってくるだろうな」
ラフォーレがそう言う。
「偏屈でわるかったわね。どちらにせよ、帝都攻略にはこのあたりに陣が必要になりますから、警戒して仕掛けてこなければこちらは足がかりとなる陣を作れるわけですからいいでしょう」
エラナが陣を築こうとしているのが帝都まで半日ほどの距離、場所的には都合がいい。
「敵陣に動きはないようですね」
昼を過ぎ陣も半分近く完成したころエラスティーナがそう言った。
「まさか私が先鋒で出てくるとは予測してなかったでしょうからね。対応に困っているのでしょう」
「このまま本陣が来るまで何もしない可能性もありそうね」
「そのつもりはありませんよ」
「夜襲ですか」
フィーラが尋ねる。
「そのほうが私らしいでしょう」
「それこそ警戒しているでしょう」
エラスティーナがそう言う。
「カリテ」
「はっ」
カリテは呼ばれ前に出る。
「ここに私の騎士団10000騎と魔法騎士団2000騎を残していきますが、この陣を防衛できますか」
「5日程度でしたら守りきって見せます」
カリテはそう答える。
「いいでしょう、マルシェ、ランフォート、レイネートの4人でここを守りなさい。残りは私とともに行動します」
「なるほど」
エラナの作戦を納得したのか、エラスティーナは一人うなずく。
「日が暮れたら行動を開始します。それまで休むように命じてください」
その日の夜、エラナは軍を率いてひそかに陣を出立した。
「サイバー、ジェネル貴方達はそれぞれ5000騎を率いて奇襲をかけるふりをしなさい。戦う必要はありません。念のために敵が出撃してきたときの罠は仕掛けておきなさい。こちらが目的地にたどり着いたら、そこで火をともしますので合流してください」
『畏まりました』
「目的は、敵を陣にとどめておくだけであることを忘れないでください」
『はっ』
エラナの目的は敵陣の背後に陣を築くこと、これによってオリエスター軍とウイリアム軍を孤立させることだった。
そして翌朝、エラナは陣を完成させた。
これによって、オリエスター軍とウイリアム軍は孤立しフォーラルら本陣が到着する3日後までまったく身動きが取れなかった。

「本陣が到着したことにより背後の心配はなくなりましたね」
ジェネルがそう言う。
「オリエスター軍とウイリアム軍が降伏してくるのも時間の問題でしょう。問題は次からですね。アルウスも本陣をぶつけてくるでしょうからね」
「帝都に篭城する可能性はありませんか」
サイバーがそう言う。
「それは無いでしょう。帝都は篭城するには城壁が低すぎます。それにあの大きさです守りだけでもかなりの数の兵が必要になります。もともと帝都は外敵に攻められたとしたときリスタール城、リクイド城の2つが落城した時点で丸裸も同然ですからね」
「その場合、兵力を集中できる野戦となるわけですね」
フィーラが答える。
「そう、帝都の城壁は魔物が攻め寄せたときに直接町に被害を出さないようにするためだけにしか役に立ちませんからね」
エラナが予測したとおり、2日後オリエスター軍とウイリアム軍は戦わずして降伏した。その一方で帝都からはアルウス自身が30万の兵を率いて出撃してきた。
「戦いは明朝になるでしょう。兵たちには十分に休息をとらせてください。これだけの数での戦、1日で終わりはしないでしょう」

翌朝、エラナ率いる先鋒隊とアルウス率いる本陣は帝都の北で向き合った。
「久しぶりね」
アルウスに向かってそう言う。
「よくもそれだけの兵を集めたもんだ。今回は前回のような山岳地ではない。貴様の魔法兵器は使えぬぞ」
「必要ない」
そう言い、エラナはフィーラから槍を受け取り、前に出る。
「ほう、魔法でなくそれで戦おうというのか。よかろう、誰かあのものを討ち取り第1の戦功を欲しいものはおらぬか」
「この私が」
そう言い1騎前にでる。
「フェラード侯爵か、よかろう」
言われフェラードはエラナに向かって馬を走らせる。
「エラナ・フレア、参る」
エラナも馬(?)を走らせる。
「我は、レイズ・フェラード、お相手仕る」
名乗りを上げただけありレイズ・フェラードは強かった。
「剣王フォルク師の弟子である私と互角に渡りあえるほどのものがまだいましたか」
「フォルク殿とは武術大会の決勝で交えたことはある」
レイズ・フェラードは帝都で武術大会が開かれたころは剣王フォルクと並んで常に決勝まで勝ち進んだ猛者で、フォルクが帝都を去ってからは優勝したこともあった。
「ならば馬上ではそれぞれ実力は出し切れないでしょう。降りて勝負といたしましょうか」
「よかろう」
エラナもレイズもそれぞれ馬から降り、槍でなくそれぞれ剣を手にする。
「いくぞ」
剣と剣がぶつかり、全軍が無言で見守るその空間で剣がぶつかった音が響きわたる。
両者の実力はほぼ互角、ただレイズのほうが戦いなれていた。
その瞬間レイズは、剣をすばやく引くと下段から切り上げてきた。
エラナはこれを後ろに飛ぶことでかろうじて交わした。
だが次の瞬間、レイズの突きがエラナを捕らえる。エラナはすばやく身をかわしたが剣はエラナの左腕を掠めた。
「師と戦ったことがあるだけはありますね」
「フォルク殿と戦ったときを思い出すな」
再び両者の剣が交わりが、エラナはレイズの剣を受け止めるとそのまま横に跳び、そのまま剣を持ち替える。
『フォルク流剣術風技奥義・回転剣舞!』
「ぐぅぁ!」
エラナの剣がレイズを切り裂くが、戦いの感がそうさせたのかとっさに身を引いたため傷は浅かった。
「見事だ、私の負けだ」
傷が浅いとはいえこれ以上戦ってもレイズに勝ち目がないことは間違いなかった。
だがそのときだった、アルウスの陣営からエラナ目掛けて矢が飛んできたのは。
エラナはそれを剣で弾き飛ばす。が次は1本ではなく数百本の矢が飛んできた。
『魔道剣術奥義・幻影剣舞』
エラナはこれをまたすべて弾き飛ばすが、数本の矢は近くにいたレイズに刺さっていた。レイズはすでに死んだものと思ったのかアルウスの軍の進軍も始まっていた。
「レイズ殿」
「最後にそなたのような武人と戦えたことを光栄に思う・・・」
そう言いレイズは息を引き取った。
アルウス軍が進軍を開始したのを見て控えていたエラナの軍もすでに進軍を開始していた。
「エラナ、大丈夫か」
ラフォーレがいち早くかけつけた。
「心配ない、かすり傷を受けた程度です。それよりもその男を手厚く葬ってやってくれ、アルウスのもとにこれほどの武人がいたとは」
「わかった」
エラナはレイズの遺体に一礼をすると、馬に乗り前線に赴いた。
ラフォーレは簡単な祈りをささげると部下に命じるとレイズの遺体を陣に運ぶように命じた。
前衛に立ち指揮を続けるエラナは常に誰かと槍を交えていた。
昼過ぎになると本陣から前衛のグランテール率いる重騎士団が合流、左翼ボルス・レフォーク、右翼サンバス・アルトの軍も参戦したが、それでも数の上ではまだアルウス軍が倍近い兵力を有していた。
だが騎士団を中心としたエラナの軍勢のほうがここの強さは圧倒的で、急遽集められたアルウスの兵の中には逃げ出すものもいた。
戦いは日が暮れても終わる気配はなかった。
「いったん引いたほうがよろしいのでは」
ジェネルが進言する。
「あちらに引く気配が無い以上難しいでしょう。陣に残っている魔法騎士団に上空に明かりをともすように命じてください」
「はっ」
両軍が引いたのはそれから数時間後の真夜中になってからのことだった。
「被害の状況をまとめてください」
陣に戻ったエラナは、各将にそう命じる。
しばらくすると各隊の被害状況が報告されてきた。
死者・行方不明者4500名、負傷者12000名、参加した全兵力の1割だった。
「敵の被害までは把握できませんが、我が軍以上の被害はあたえれたものだと思います」
サイバーが報告する。
ただこの戦いの中で1人の死者・行方不明も出さなかった軍があった。グランテール率いる重騎士団、行軍速度こそ遅いものの鎧の硬さはどの軍にもまけることはない。
「今日はそうだが、明日もそうなるとは限らんがな」
グランテールはそう言う。

翌朝、日が昇ると戦いは再開された。ただ昨日と違い、本陣からラルク・ハーパリン率いる神官騎士団が合流していた。
昨日の疲れのないラルク軍は次々と戦果をあげていく。
戦いは一進一退を続けたが4日目に帝都から援軍として10万の兵が出撃してきた。だがそれと日を同じくしてリスタール城から出撃したベネラル率いる黒騎士団も到着した。
これにより兵力においては同数となったが、ベネラル率いる黒騎士団は帝国最強の騎士団それに聖王国最強の聖騎士団、アルウス軍は徐々に数を減らしていった。
最初の戦いの日から1週間、ついにアルウスが軍を引き帝都に逃げ帰った。
「エラナ、アルウスの残る兵力はどの程度だと見る」
ベネラルが尋ねた。
「おそらく闇騎士団がそのまま残っているでしょう。戦いの中でほとんど見かけませんでしたからね」
「帝都をすてて南に逃げる可能性はないか」
「それは無いでしょう。帝都の南には街こそありますが、これといって城があるわけではありませんからね。念のためにフェルドの竜騎士団を配置しておきますか」
「手配しよう。そうなると次は帝都攻めか」
帝都攻めにベネラルは乗り気ではなかった。
「残存兵力から計算して、宮殿での戦いになるでしょう」
「宮殿か」
「おそらく闇騎士団だけでくるでしょう。ここから先は数を絞って戦う必要があるでしょう」
「精鋭のみでいくか」
「黒騎士団、聖騎士団、神官騎士団のそれぞれから精鋭のみで挑むべきでしょう」
「なるほど」
「ただ、魔神獣の姿が確認していない以上、魔神獣と戦えるものも宮殿には行くべきでしょう」
「陛下の警固はどうする」
「行くものを限定しますか、私、ベネラル、スティール、フェルド、ラクレーナ、ラフォーレ、フェーナ、フォルクの8人としましょう」
「残るものは陛下のもとにいればいいのか」
「セレナ、ルキシード、ラルク、グランテール、スティーナがいれば問題ないでしょう」
「よし、それでいこう」

エラナの予測どおりアルウスは宮殿に篭城した。
帝都内に入ると、宮殿を完全に包囲し、正面の門から攻撃を開始した。
宮殿は深い堀と高い城壁に囲まれているが、魔法騎士団の砲台にはそれも役が立たず、3日目には穴が開いたそこへ森から切り出してきた木で橋を架けるとそこから宮殿へ突入した。
宮殿内にはあちらこちらに罠が仕掛けられ、数多くの騎士達が命を落としたがエラナ達8人はついに謁見の間にたどりついた。
だがその謁見の間で最初に目に飛び込んできたのは、首のないアルウスの体だった。
「よく来たな」
玉座に座った男がそう言う。
「その男は余に逃げることを進めた。そして貴様らをここまで入れた故、殺した」
その男が、ティタン皇帝だった。
「降伏していただこう」
ベネラルがそう言う。
「戯言を、なぜこの余が貴様ら下等生物ごときに降伏せねばならん」
同時にティタンから邪悪なオーラが発生する。
「この気配、ティタンじゃないわね」
エラナは、呼び出した法皇の杖を突き出しそう言う。
「間違いなくこの体はティタン皇帝だ、ただ我が頂いただけでな」
「ティタンを食べたわね」
「ご名答、だがこの男すばらしかったぞ、この私に手傷を追わせたのだからな」
ティタンはアルウスの傀儡ではあったが、剣の腕は確かだった。ベネラルも何度か手合わせしたことがあったが、ベネラルと互角に戦える実力は持っていた。
「何者、いままで戦った魔神獣なんかとは比べ物にならないその気配、軍王以上のそれを感じるわ」
「さすがだな、このお方こそ軍王長ヴェルナス様だ」
そう言い、西方軍王ラティールが姿を現す。
「貴様らに下級のやつらは無駄なようなのでな、我ら2人が相手してくれる」
そういいヴェルナスはティタンの姿のまま立ち上がる。
「最強攻撃浄化魔法(ホーリー・ブレス)!」
エラナの一撃が開始の合図となった。
「無駄だ、その程度の術など我には通用せん」
ベネラルがラティール目掛けて槍を突き出す。ラティールはそれを軽々と受け止める。
「はぁっ」
スティール、フェルドがベネラルに続く。
だが、ラティールは3人を相手にまったく動じようとはせず、互角以上の戦いをする。
「3人とも下がっておれ」
剣王フォルクがラティールに挑む。
「ほう、他の3人と違って多少はできるな」
フェーナはこのとき不死鳥を展開し、ヴェルナスへの攻撃の機をうかがっていた。
「法皇剣(セレネイド・ソード)!」
エラナは法皇の杖を剣に変化させると、ヴェルナスにきりつけるが、それを軽々と受け止める。
「さすがにそれできられると痛そうだな」
「聖十字漸!」
エラナが攻撃を受け止められると同時にラクレーナが攻撃を仕掛ける。
気がつかれぬように戦っているが、法皇の力を加えた一撃である。
「ほう」
ラクレーナの攻撃も軽々と避けそう言う。
「鳳凰無双激(フェニックス・エンペラー)!」
エラナとラクレーナが距離をとった瞬間、フェーナがすべての不死鳥を叩き込む。
「無駄だ」
「神皇審判(ジャスティス)!」
ラフォーレが放つ。
「ほう、神皇の血族までいるのか」
ラフォーレの一撃をかわしそう言う。
「さすがに軍王長と呼ばれることはありますね」
「いい加減本気できたらどうだ、ベリザードを倒したお前達の実力はその程度ではなかろう」
ラクレーナの戦いで傷を負ったベリザードの傷はかなり酷く魔界へ帰らざるをえないほどのものだった。
『エラナ』
ラクレーナが直接エラナに呼びかける。
『貴女が力を解放する必要はないわ、私がするわ』
『結界を展開して私とラティールだけにしてください。そちらは私が片付けます』
『わかったわ』
「いいでしょう。後悔しないでくださいよ」
同時に結界を展開する。

結界に入るとラクレーナは天馬を呼び出した。
「憑依降臨!」
ラクレーナと天馬セイレールはひとつの姿となり、背に羽を生やした天使の姿となった。
「ほう、エラナ以外にもそれだけの力を持ったものがいたか」
「法皇天馬閃槍翔破!」
その一撃はラスティールの左腕を捕らえ消し飛ばした。
「避け切れなかっただと」
「時間をかけてる暇はありません。法皇螺旋旋風陣!」
そして右腕を奪った。
「ばかな」
「これで終わりです、法皇聖十字漸!」
それがラティールへの最後の一撃となった。
「ここまで実力差があると一方的で楽しみはありませんでしたね」
同時に結界が開放され、ラクレーナは元の謁見の間に戻ってきた。そのときにはセイレールとの融合は維持していたが、羽は消していた。
「ほう、ラティールをこの短時間に倒したか」
「言ったでしょう後悔しないようにと」
「ふっ、我をラティールと同じように考えてもらってはこまるな、超熱魔閃砲(フレア・キャノン)!」
ヴィズレートはエラナ目掛けて打ちはなつ。
「ちっ」
エラナはそれをかわすことができたが、かわせばベネラルらにそれは向かう。彼らでは魔法は防げない。
「エラナ!」
ラフォーレが叫ぶ。
エラナはまともにヴィズレートの魔法を受けたのだ。
「そいつを食らって人間ごときが生き延びることはできん」
「魔皇氷翔破(クライシスト・フリーザ)!」
爆炎の中からエラナが解き放つ。
「なに」
とっさにかわそうとするが左腕は捕らえていた。
消えていく爆炎の中から衣類が殆ど燃えた姿でエラナが姿を現す。
「やれやれ、私の法衣が完全に燃えてしまいましたね」
そう言い、瞬時に法衣を再生させる。
「あれを食らって無傷だと・・・まさか、自己再生か」
「私はこれでも法皇の巫女ですからね」
「なるほど」
そう言い凍りついた左腕をもぎ取る。と同時に腕を再生してみせる。
「その程度ではまったく効いてはいないようね」
「あの程度なら何度でも再生できるわ。だが貴様はどうだ、先ほどの再生でかなりの力を消耗したのではないか。完全再生、できてあと1度であろう」
ヴィズレートが指摘するとおり先ほどの攻撃でエラナはかなりの魔力を消耗していた。あと1度ならば再生はできるが、あくまで以後それだけに魔力を使うとしてのこと、再生してまで戦う余裕はない。
『フォルク流剣術風技奥義・回転剣舞!』
ラクレーナが仕掛ける。
「無駄だ、我に多少の傷を負わせたとてその程度、すぐに再生できるわ」
ラクレーナの攻撃はかすり傷を負わせた程度だった。
「再生できるといっても魔力の消費が完全にゼロではないでしょう。ならばその魔力尽きるまで仕掛けるだけ」
ラクレーナがそう言う。
「なるほど、そいつはたしかに面白そうだ」
ベネラルがそう言い、槍を構える。
「正気か」
スティールがそういう。
「正しいな、いかなる小さな力といえどもいずれは大きなものを砕く。風が岩を削り取るようにな」
フォルクがそう言い、剣を構え切り込む。
「仕方あるまい、付き合うか」
スティールも剣を構え切り込む。
「どいつもこいつも、面白そうじゃないか」
フェルドも槍を構えると突進する。
「法皇剣(セレネイド・ソード)!」
エラナの攻撃だけは剣で受けるもののベネラルらの攻撃はかわすなり自らの固い皮膚で受け止める。
せつな、ヴィズレートの拳がスティールを捕らえた。
「ぐはっ」
「完全治癒(リカバリー)!」
ラフォーレがすかさずスティールを回復する。
「すまぬ」
「回復は私にお任せを」
「はっ」
ラクレーナは攻撃の合間に法皇の力を使った一撃を混ぜていく。
エラナ、ラクレーナの攻撃はベネラル達の牽制のおかげか確実にヴィズレートにダメージを与えていく。
ヴィズレートも強力な一撃をベネラルたちに向ければエラナ、ラクレーナから強力な一撃がくる、たとえベネラル達にダメージを与えようとラフォーレが確実に回復させる。
「小ざかしい」
ヴィズレートが力を解放してまとめて全員をはじき飛ばす。
エラナは油断していたつもりはなかったが、思った以上に法王剣の維持で魔力を消耗しすぎていた。
「超熱魔閃砲(フレア・キャノン)!」
それはエラナ目掛けて放たれた。とっさに防御魔法を発動させようとするが、弾き飛ばされたダメージが彼女の動きを遅らせた。
「神皇降臨!」
ラフォーレだった、ラフォーレがそれを体で受け止めていた。
「ラフォーレ!」
エラナが叫ぶ。
ラフォーレが防ぐもののそれぞれは爆風で謁見の間の壁まで弾き飛ばされ激しく討ち付けられる。
「すまない、私がした約束だったのにな。守れなかったな」
エラナの腕の中でラフォーレがそう呟く。
「いやぁ、私を一人にするつもりなの・・・」
いつも冷静なエラナの姿はそこにはなかった。エラナはもてる力をこめラフォーレを回復させようとする。
「やめるんだ・・・、その力は俺のために使うもんじゃない・・・」
そう言うと、ラフォーレは隠していたナイフで自らの心の臓を突いた。
「ラフォーレ・・・」
「神よ感謝いたします、愛した女性の腕の中で死んでいける私を・・・」
そう呟くとラフォーレはエラナの腕の中で冷たくなっていった。
「一人消えたか」
ヴィズレートはそう呟く。これにより彼らの回復役が消えた。真っ先に始末したい相手が消えたのだ。
「おのれ!」
スティールが一人切り込む。
スティールにとってもラフォーレは部下の一人ではあるが、それ以上に長年付き添ってきた友でもあったのだ。
「聖なる剣よ、我が血をもって開放せよ」
スティールが持つ剣は聖王家に代々伝わる聖剣、神器のひとつといってもいい。
ヴィズレートがそれを剣で受けるが、スティールのその一撃はヴィズレートの剣を打ち砕いた。
「なに」
スティールの一撃がヴィズレートの左肩を切り裂く。
「小賢しい!」
ヴィズレートの一撃がスティールをもっとも遠い壁まで弾き飛ばす。
「がっ」
「スティール!」
フェルドが叫ぶ。
「うぉぉぉっ!」
ベネラルは槍を構えるとそのまま突進した。
ベネラルの持つ槍も黒騎士団長のために初代皇帝王妃であったエラスティーナ・アルスタークが夫、初代皇帝のために作り上げた魔槍で剣としても、槍としても使え、馬上においてはランスとしても使用できる万能の武器である。
ラクレーナもベネラルに続いていた。
ラクレーナも羽を隠すこともなく突進したが誰もそれに気がついてはいなかった。
だが二人のこん身の一撃もヴィズレートに多少の傷を負わせる程度、逆に二人が受けたダメージのほうが大きかった。
「エラナ、いま悲しんでいても死んだラフォーレが喜ぶわけではありませんよ」
フェーナがそう声をかける。
「そうね、ここで私がまた誰かが死んでいったりしたらそれこそ私はラフォーレにあわせる顔がないわ」
「足らない魔力は私がサポートします」
そう言い、フェーナは全魔力を使って呼び出せるすべての精霊王を呼び出す。
「うぉぉぉっ」
突如フォルクがヴィズレートの右腕を押さえつける。フェルドがそれに続き左腕、ベネラルが右足、いつの間にかある程度自ら回復させたスティールが左足を押さえつける。
「貴様ら!」
「聖魔精霊浄化(ホーリー・エレメンタル)!」
エラナとフェーナが協力したその一撃はヴィズレートの胸を貫く。
「がぁっ・・・我を倒しても、貴様らでは我が王には・・・」
同時にラクレーナの一撃がヴィズレートの頭部を破壊した。

宮殿の決戦はその日の夕方には終わった。闇騎士団は最後の1人まで降伏することはなく散っていった。そのため、宮殿に突撃した黒騎士、聖騎士、神官騎士の半数以上を失う戦いだった。
翌朝には宮殿内が片付けられ、昼過ぎにはフォーラルが入城した。
謁見の間はヴィズレートの戦いでかなり酷く荒れていたため、1階の広間で帝都ラクーンでのフォーラル最初の謁見は行われた。
「多くの犠牲を出したが、余が今日ここに入城できたことをうれしく思う」
フォーラルがそう言うと、どこからとなく声があがった。
「皇帝陛下万歳!」
『皇帝陛下万歳!』
集まったものすべてがそう唱える。
皆が1階の広間に集まる中エラナはただ一人謁見の間にいた。ラフォーレの亡骸もまだそこにあった。
「ほんと、幸せそうな死に顔ね」
ラフォーレの死に顔は穏やかだった。
「貴女の力で蘇らせることはできませんか」
セレネイドにそっと呟いた。
『すでに彼の魂は神皇のもとにあります。私の血を引いてるものならばそれもできましょうが、神を降臨させたものを蘇らせることはできません』
「やはり、ラフォーレは最初に私の腕に抱かれたときからそれはわかっていた。だからこそ私に無駄な魔力を使わせないようにするためにも自ら胸をついたのは・・・」
『貴女が私とかわした約束を忘れたわけではないでしょう。これから永遠に行き続ける貴女は知りえた者の死をこれからも見続けていかねばなりません』
「わかっています。だけど私の油断が彼を死なせてしまった。彼を失うことが私の心にこれだけの空白をあたえるなんて・・・」
そう言い、エラナは涙した。
『今は好きなだけ泣きなさい』
そう言いセレネイドは姿を消した。
夕方スティールが謁見の間を訪れた。
「スティール、ごめんなさい。私のせいで・・・」
エラナはスティールに泣きついた。
「エラナ、お前だけのせいではない。私も最初から完全に力を出し切ってれば、こうならずにすんだのかもしれん。一人だけで抱え込むな」
いつも冷静で感情を表に出さないエラナの一面だった。
「ヴィズレートは死に際に王の存在を口にしました。いずれ魔神獣王が姿を現すということでしょう。次の戦いは今回以上の苦戦が強いられることは必須でしょう」
いつのまにか謁見の間にラクレーナが入ってきてそう言う。
「俺達は数日中には聖王都に帰らねばならん。次の戦いのためにもいままで以上の力を手にするためにまた修行をしなおそうと思う」
フェルドもそこにいた。
「残された我々が過去を悔いても死者は喜ばぬ、ならば俺らはラフォーレが見たかった平和な世が作られるために生きていかねばならん」
ベネラルがそう言う。
「これまで俺に勝たぬ相手などおらんと考えていたが、俺も出直しだな」
フォルクが言う。
「エラナ」
フェーナが手を差し出す。
「みんなありがとう。最後に二人だけにさせて」
エラナがそう言うと、ベネラル達はみな部屋を出て行った。
「貴方と私のこの子のためにも、私は生きていくわ」
エラナにはすでにラフォーレとの間に生まれてくる子供がいた。
「さようなら、貴方は私が愛した最初で最後の人・・・」
エラナはそう言うと静かにその場から姿を消した。

翌日ラフォーレの葬儀が国葬として行われた。新皇帝であるフォーラルの兄ティタンも先代皇帝として国葬が行われることとなった。
「アルウスの傀儡として生きてきた兄ですが、最後は軍王長ヴィズレートに挑んだ戦士であったとのこと、立派な兄だったと誇りに思う」
フォーラルはそうコメントした。
国葬が終わると、フォーラルの正式な戴冠式が行われ、それに伴い新帝国の人事も発表された。
帝国宮廷魔術師エラナ・フレア、帝国宰相にサンバス・アルト、ベネラルは黒騎士団長とともに帝国軍最高司令となった。
一方学院でもラスティークが正式に引退し、エラナが正式に最高導師となった。これに伴いセレナは正導師として学院ナンバー2となった。フィーラも正式に学院の導師となり、サリナは神殿に迎えられた。
今回の戦いでアルウスに味方した貴族達の多くは血筋が途絶えた家もあったが、殆どは爵位を取り消され、あらたに戦功があったものにその領地は与えられた。
ただ帝都北の決戦でエラナと一騎打ちを繰り広げたフェラード伯爵家はエラナが後見人となることで、まだ生まれたばかりの新たな子ルーベルを当主とすることで認められた。
その一方で味方した貴族の中でも戦死したダスト伯爵家も幼いスノーが当主についたが、これもエラナが後見人となった。
それ以外にも多くの孤児となったものをエラナは学院に迎え入れ、これまで蓄積してきた財産の多くを帝国復旧のために提供した。
スティールら、聖王国軍は国葬の翌日には帝都を立ち聖王国に帰っていった。

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