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第二部  第七章 決戦前夜


翌日エラナは、剣王フォルクの小屋に訪れていた。
「元気そうですね」
小屋の裏でマキを割っている師にそう話かける。
「エラナか」
「単刀直入に聞きますけど、協力してもらえますか」
「あの化け物相手だけならな」
「それで十分ですよ。アルウス率いる軍はそれほど問題になりませんしね」
「対した自信だな」
「聖王国のスティール、フェルド、ラクレーナが参戦してきましたからね」
「帝国の黒騎士団、聖王国の聖騎士団、竜騎士団、天馬騎士団、そしてお前の魔法騎士団がすべてそろったわけか」
「過去にこれだけがそろったことはありませんからね」
「それはそれで観戦する価値はありそうだな」
「戦場では私の陣内になりますが、特等席を準備しますよ」
「いいだろう」
「それと師がここにいない間ですが、奥さんと娘さんにはリクイド城に部屋を準備します」
「それは助かるな」
「私は先に戻りますが、準備ができしたリクイド城へ起こし下さい」
「わかった」
聞きとげるとエラナはそのままその場を後にした。
「さてと、いいかげん出てきたら」
フォルクの小屋から少し離れた森の中でそう言う。
「気がついていたのか」
「将軍クラスを倒せる相手を貴方が警戒していないはずはありませんからね。おそらくそちらに敵対するようなら始末するようにとの命令でしょう」
「だが貴様一人で我らを相手にできるとでも思ったのか」
そういい6匹の魔神獣が姿を現す。
「全員将軍クラスですか」
「当然だ、軍王様と互角に戦った貴様相手に我々一人で来るとでも思うのか」
「それで勝てるつもりならいいですけど」
そう言うと、自らを中心に空間を広げる。
「軍王様が言っていた空間か」
「ちょっと派手に戦いたい気分なんでね」
そういい、法皇の杖を呼び出す。
「我ら6人を相手にそう言っておられるのも今のうちだ」
「そう思うならそう思いながら消えるがいい」
同時にそう言った魔神獣との距離を瞬時につめる。
「法皇剣(セレネイド・ソード)!」
杖から剣に姿を変えたそれは魔神獣を一刀両断する。
「おのれ」
他の1匹が襲いかかる。
「魔皇剣(クライシスト・ソード)!」
逆に左手に闇の剣を呼びだすとそれで切り捨てる。
「同時に異なる力だと」
すでにこのときエラナは剣を逆手に持ち変えていた。
『魔道剣術奥義・幻影剣舞』
2つの力で切り裂かれる。
「二つの異なる力によって切り裂かれたものは魂する破壊する」
高位の力を持つものは肉体を失っても復活することは可能だが、魂の破壊は完全な滅亡を意味する。
戦いが始まって1分、魔神獣の数は半分になっていた。
「ここまで手ごたえがないのもつまらないわね」
エラナの力は圧倒的だった。これが10倍近い相手がいてもエラナには到底及ばない。それだけの実力差はあった。だが、ここはエラナの空間、彼らに逃げる手立てはエラナを倒す以外にない。
『おのれ』
魔神獣たちはいっせいにエラナに襲いかかる。
「魔皇狼獣破(クライシスト・ヴォルド)!」
闇の剣を解除すると、1匹に放つ。
「最強攻撃浄化魔法(ホーリー・ブレス)!」
剣を杖に戻した右手は杖を返して打ちはなつ。
魔神獣はエラナが同時に2つまでの制御だと思っていたのが間違いだった。
「この空間を制御しているのは私ですよ、4人いるうちにやっておくべきでしたね」
最後の1匹は空間そのものに捉えられ身動きがとれなくなっていた。
「法皇審判(ジャスティス)!」
エラナが彼らを片付けるのに要したのは数分のことだった。
「将軍クラスであの程度ですか、これなら軍王を相手にしてもなんとかなるでしょう」
そう呟くと空間を解除し元の森に戻った。
「また一人で背負い込むつもりですか」
「ラフォーレ」
「少し気になって様子を見にきましたが、来て正解でしたね」
「私がどうするかを知っていて言っているのですか」
「貴女が誰も必要としていないことはわかっていますよ。都合のいいコマであればいい。違いますか」
「だとしたらどうだと言うのです」
「どうするつもりもありませんよ。私の望みはあなただけですから」
そういうと、エラナを抱き寄せる。
「これで貴方が納得できるなら」
ラフォーレが口付けし、エラナのローブを脱がせる。

エラナとラフォーレがリクイド城へ戻ったころには日も暮れていた。エラナは戻るとそのまま部屋へ戻った。
「うまくいったのか」
ベネラルがラフォーレに尋ねる。
「どちらともうまくいきました」
「そうか、師が動くなら魔神獣は多少は楽になるな。で、エラナに答えはもらえたのか」
「内乱を終結したら考えてもいいとのことでした」
「性格はあんなんだが、悪い女ではない」
「卿はフェーナさんとはどうなんです」
「私も内乱終結後だな」
「お互いがんばるとしますか」
そういいラフォーレはその場をあとにした。
「たいした奴だ、あのエラナが心まで許した相手か」
「何をお考えですか。エラナと過ごした夜でも思いだしましたか」
いつのまにかベネラルの背後にフェーナが立っていた。
「本当にいつも俺に気配を感じさせず出てくるな」
「自然に溶け込んで生きてきましたからね」
「エラナのことを思い出したことは否定せんよ。ただエラナにラフォーレのような感情はなかった。ただ騎士として求婚したことはあったがな」
「貴方もエラナもそこは不器用ですからね」
「否定はせんよ。ただそなたに対する気持ちは真実だ」
「疑うつもりはありませんよ。それより今日もお願いしますよ」
「それは構わぬが、そなたの動きならエラナに習ったほうがよいだろうに」
「習うだけならそうですが、実際の戦いを考えるとエラナのような相手はいないといってもよいですからね」
「確かに、あの戦い方はエラナとラクレーナだけの特有な戦い方だからな」
二人はそのまま中庭のほうへ向かった。

部屋に戻ったエラナは一人部屋に閉じこもった。隣の部屋にはサリナとフィーラがいるが、これまで扉に鍵までかけたことはなかった。
「調子が狂ってくるな」
そう言いながら普段は一人ではあまり飲まない酒を口にした。
『答えは出ているのでしょう』
エラナの対面に突如セレネイドが姿を現す。
「ずっと見ていたのですか」
『私の一部は貴女の一部でもありますからね。知らぬことはありませんよ』
「ラフォーレのことを考えると体が熱くなる」
『それが愛するという感情です』
「愛ですか」
『そうです。貴女が永遠に転生を繰り返せるとはいえ私の血を引く血筋は残してもらわないと困りますからね』
「それなら、すでにエレナやフォン、ランティスがいるではありませんか」
『私にとっては大いに越したことはありませんが』
「増やすことに意味がありそうですね」
『私が地上に完全に復活するにはそれだけの力を持った実力者でなくてはなりませんからね』
「その条件の一つが貴女の血筋なのですね」
『そういうことです。もっとも本当は貴女で復活することもできたのですけどね』
「お断りするわ」
『貴女がそう答えることはわかっていますよ。だからこそ将来において貴女は私の血を残さなくてはならないのですよ』
「このことで従うのは最後にさせてもらいますよ」
『素直ではないですね。まぁいいでしょう』

その頃、皇帝フォーラル、ラクレーナ、セレナの3人は野営の準備をしていた。
「野営も久しぶりですね」
フォーラルがそうもらす。
「軍を指揮するようになってからはしてませんでしたが、私は好きですね」
ラクレーナが答える。
「お姉さまはいつも私を置いていくから、めったに経験できませんね」
セレナが言う。
「私も嫌いではないが、私は机に向かっているほうがいいらしい」
「私は食事の準備をしてきます」
そういい、ラクレーナは一人2人から少し距離を置いたところで食事の準備を始めた。
「こうして貴女と話をするのも久しぶりですね。そういえばエラナ殿は貴女の姉君だったな」
フォーラルが尋ねる。
「はい」
「すばらしい姉君をお持ちだ。私は戦略や戦術を幼い頃から学んで常に誰よりも勝っていると思っていたこともあるが、エラナ殿にそれが自己満足でしかなかったと思いしらされた。上には上がいることがよくわかった」
「お姉さまは確かにすごいと思います。だけどすべてにおいてすごいわけでもないと思います。陛下もお姉さま以上のものをもっているものもあるはずです」
「私だけのものか」
「はい、陛下は私たちの代表なのです。陛下には私たち皆を束ねる力があります」
「束ねる力か」
「確かにお姉さまにもその力はあると思います。ですが、お姉さまが信用しているのは皆の力じゃない。自分自身の力だけです。ただ今は目的のためにそうしているだけだけです。お姉さまにすべての帝国の人々の心をつかむことはできない。ですが、陛下ならそれは可能だと思います」
「軍をまとめるのはエラナ殿が優れているが、民をまとめるのは私が優れていると」
「兵を束ねるのはお姉さま、民を束ねるのが陛下です」
「確かに、それこそ私がせねばならないことだな」
その言葉を聞くとセレナは一通の書状を差し出した。
「陛下にお渡しするようにと」
受け取りフォーラルは見て驚きを隠せなかった。
「これは父上の」
「先の陛下とお姉さま、私の3人で決めたものです。陛下にはそれを受け入れていただきたく思います」
「少し考えさせてくれ」
「食事の準備ができたようですから、後ほどお聞かせください」
ラクレーナが3人分の食事を持って戻ってきた。
食事は少し重苦しいものだったが、食事を終えるとラクレーナは席を立った。
「少し出かけて参ります」
ラクレーナが食事後に出かけるのは常に訓練を欠かさないこともあるが、ラクレーナが天馬に食事を与える時間でもあった。
ラクレーナが立ち去ると再び、フォーラルとセレナ二人だけとなった。
「考えていただきましたか」
セレナが尋ねる。
「父上の書状は、私と貴女の婚約を示すもの貴女はよろしいのですか」
「陛下の御心のままに」
そういうとセレナはローブを脱ぎ一糸まとわぬ姿になる。

ラクレーナが戻ってきたのは2時間も経過したころだった。
「陛下は先にお休みになりました」
戻ってきたラクレーナを出迎えたのはセレナだった。
「その様子ですと結論はでたようですね」
「はい」
「帝国直系の血筋はこれであなたが握ることになりますね」
「陛下はこの戦後に正式な統一帝国の皇帝となられますが、陛下の将星の輝きは短く強い、ベネラル様がその意思を受け継ぐことになります。お姉さまが見た未来がたがえることはないでしょう。ただベネラル様が皇帝となるは帝国の終焉を意味します。そしてお姉さまは目的の為に手段は選ばないでしょう。純粋な帝国王家、いえ法皇様の血筋を途絶えさせることはできませんから」
「エラナが産み落とした命も続くとはいえませんからね」
「エレナ、フォン、ランティスのことですね」
「何もかも知っているのね」
「私はお姉さまのような星見の力はありませんけど、代わりに真実の目を持っていますからね。私が知らないことはありませんよ。もっともすべてが知りえるほど万能ではありませんけどね。事実は知ることはできてもあなたが考えてることまではわからないわ。特にあなたは法皇様の力で守られていて、何も知ることができないわ」
「時の行く末を見届けたい、それだけですよ。だけどそんな貴女にもわからない事は多いわ。法皇様の血を受け継ぎながらなぜ冥王との契約を結んだのです」
「おとなしく見てるのは好きじゃないの。私にはお姉さまのような圧倒的な魔力はないわ。だけど封印術だけなら誰にも負けるつもりはないわ。だけどそれだけじゃ、お姉さまの力にはなれないわ」
「せっかくだから、その決意を見せてもらえますか」
「構いませんよ」
そう言いセレナは呪符の束を手にする。
「そういことですから、隠れてないで出てくるといいわ」
ラクレーナが挑発するように言う。
「なるほど、異空間にいる我に気がつくとは油断ならぬというのはでたらめではないようだな」
姿を現したのは1匹の魔神獣だった。
「いかに異空間にいようとこちらを伺えば魔力のひずみが発生しますからね」
「そこまでの力があるならば始末する必要があるな」
そう言い、何かの合図を送った。
同時にセレナたちを囲うように無数の魔神獣が姿を現す。
「翔!」
セレナの力強い一声と同時に姿を現し始めたほとんどの魔神獣が消し飛ぶ。
「なに」
「聞いていたのでないのですか、私が冥王との契約を結んでいることを、すべての空間に関与する唯一の世界こそ冥界、いかなる空間のゆがみだろうと私にはそれをすべて知ることはそれほど苦労することではありませんよ」
「ぬぅ」
「それと、私の魔法はお姉さまの魔法単体となら何十分の一の力しかありませんが、同時に何千だろうと同時に使うことができるのですよ。そして、そのすべてを単一の対象に向ければどうなるかはおわかりでしょう」
そう言い両手いっぱいの呪符を手にする。
「セレナ一人で大丈夫なのか」
いつの間にか起きていたフォーラルがラクレーナに尋ねる。
「心配ありませんよ。中級程度の魔神獣では相手にならないでしょう。戦い方しだいではエラナ以上の実力がありますよ」
「宿!・陽!・動!・飛空!!」
セレナの手にしたすべての呪符が使い魔に姿を変える。
「ちっ」
魔神獣は異空間に姿を消し逃げようとする。
「言ったでしょう、すべての空間のゆがみを私は知ることができると、そして私の使い魔達はいかなる空間だろうとそれを追跡し続ける」
セレナの使い魔が魔神獣が消えた異空間へと消えていく。
「終わったようね」
ラクレーナが声をかける。
「まだ私の使い魔から逃げ回っているようだけど、時間の問題でしょう」
しばらくして1匹のぼろぼろになった使い魔がセレナの元に現れた。
「高位魔神獣のもとへ逃げ込まれましたか」
「倒し損ねたのか」
フォーラルが尋ねる。
「先ほどの魔神獣は生きてはいませんよ。その高位の魔神獣に始末されたようですからね」
「そうすると軍王と考えたほうがよさそうですね」
「おそらく」
「さすがに軍王クラスがでてきたらどうすることもできないわね」
「かろうじてお姉さまが互角に戦える程度ですからね」
「軍王というのはそれほど強いのか」
フォーラルが尋ねる。
「先ほど私が相手にしていた魔神獣で中級のBランクです。軍王というのは上級のAランクでまったく別次元の力を持っています。私もお姉さまと同等の攻撃力を発揮はできますが、1撃1撃をあわせてのこと、私の1撃ではかすり傷ひとつ負わせることはできないでしょう」
エラナは1撃で100のダメージがあるとするとセレナは1のダメージを100撃で達成する。ただセレナでは1のダメージを与えることができなければ、何千撃と加えようとまったくダメージをあたえることはできない。
「それほどの相手なのか」
「小国なら軍王1人で簡単に滅ぼせますよ」
「それほどの力があるなら軍王自らでてきたら対抗できるのか」
「帝都攻防戦まで出てくることはないでしょう」
ラクレーナが答える。
「軍王以下には何人かの将軍がいますが、多く見積もっても10人。そのうち何人かはすでに倒されていますから、5人も残っていればいいでしょう」
セレナが答える。
「そんなもんでしょうね。こちらの陣営ではエラナ、スティーナ、それにメリアが軍王と対等と戦えるでしょう、その下の将軍と対等と戦えるのは、ベネラル、スティール、フェルド、フォルク、フェーナ、ラフォーレ、ラルク、それに私と8人はいます。セレナも戦い方しだいでは十分にいけるでしょう」
「戦力的にはこちらに分があるわけか」
「相手側に軍王が一人だけと過程した場合です」
「軍王が2人程度なら何とかなるでしょうが、軍王以上の魔神獣がでてくればそうはいかないでしょう」
「軍王以上だと」
「軍王の上に、魔軍将と呼ばれる者がいるそうです。さらにその上に魔神獣王が存在します」
「しかし、そう考えると我々が別々に行動しているのは危険ではないのか」
「それはないかと思います。リクイド城にはエラナ、ベネラル卿、それに聖王国軍主力がおりますし、リスタール城にはスティーナ様とメリア様、エラナ直属の魔法騎士団がおります。それにこちらには私とセレナがおりますし、必要ならエラナはこちらへすぐにでも移動してくることはできます」
「なるほど、万全は期してあるというわけか」
「ただ武人として軍王とは戦ってみたいですね」
ラクレーナがそう呟く。
「ほう、人間の小娘にしては言うではないか」
突如その声は聞こえた。
「セレナ、距離をとって結界を張って陛下を守っててください」
セレナは言われるまま、フォーラルを連れ瞬間移動で距離をとり結界を展開する。
「我を一人でどうにかできるとでも思ったか」
「そうですね、全力で戦うには2人に見ていてもらうのは困りますから」
「我が部下の将軍を一撃で滅ぼした程度でうぬぼれたか」
「エラナに聞いた西方軍王ではなさそうね」
「我は東方軍王ベリザード」
それは名乗るとラクレーナの前に姿を現した。同時にラクレーナの隣にはいつの間にか天馬セイレールの姿があった。
「憑依降臨!」
ラクレーナと天馬セイレールがひとつの姿になる。それは、背に羽を生やした天使の姿だった。
「ほう」
「こうして戦うのは初めてですから、私自身どれほどの力があるのかわかりませんから、手加減はできませんよ」
「神具の力を借りているようだが、貴様が倒してきた他の魔神獣と同じだとおもうのか」
「そう思うのでしたらかかってきたらどうです」
そういい挑発する。
「よかろう、消し炭にしてくれる」

「あれがレーナですか」
ラクレーナやセレナ、フォーラルがいる場所からまた離れた場所でそれを見ていたエラナがそう呟いた。
『もうすでにセイレールの使い方をわかっているようね』
うっすらとした人影で姿を現し法皇セレネイドが言う。
「天馬が七秘宝で唯一、生物であったのはそのためですか」
『七秘宝といいますけど、もともとは六つだけですからね。私が肉体を失ったときにその一部の力を封じたのがセイレールですから』
「なるほどね、だけどレーナは降臨させたけど、本来神官でもないレーナに耐えられるのですか」
『その心配は要りませんよ。肉体は耐えれないとしても魂が失われることはありませんよ。その程度で彼女が輪廻転生の輪からはずれることはありませんよ』
「あの様子なら特に問題はないようには見えますが」
『ないでしょうね。私が見定めた者ですからね。使いこなせないとわかっていてセイレールは与えませんよ』
「どちらにせよ、レーナの勝ちのようね」
『今の状態なら、貴女とレーナはほぼ同等の力を有していることになりますからね』

「ばかな、この俺がここまでやられるとは・・・」
東方軍王ベリザードはすでにかなりの魔力を消耗していた。
「言ったでしょう、手加減はできないと」
「こうなれば、手段は選ばぬ」
そう言うと、あたり一面に無数の魔神獣が姿を現す。
「数で挑むつもり」
「我が命じられたのは貴様らの王フォーラルの抹殺、貴様との決着はいずれつけてやる。もっとも貴様が生きておればだが」
それだけ言うと、ベリザードは姿を消す。
「やれやれ、さすがにこれは数が多すぎるかもしれませんね」
「法皇審判(ジャスティス)!」
力強い声とともに魔神獣が数十匹消し飛ぶ。
「エラナ」
「無理すればレーナだけでも倒せそうですけど、今貴女を失うわけにはいきませんからね」
「女王不死鳥(クイーン・フェニックス)!」
炎の鳥が数匹を消し飛ばす。
「フェーナ、いつのまに」
エラナが尋ねる。
「星見の私に隠し事ができるとでも思っていましたか。ラクレーナさんにそれほどの力があるとは思いませんでしたが」
フェーナがそう言う。
「わざわざ出てくるってことは何かあったようね」
「これといって何も見つけることはなかったわ。ただ単に私の決意が足らなかっただけですから」
フェーナの背後に数十匹の不死鳥とさらに巨大な不死鳥が姿を現す。
「なるほどね」
「鳳凰無双激(フェニックス・エンペラー)!」
瞬時に数十匹の魔神獣が消し飛ぶ。
「格段に威力があがってるわね。今度私がそれを受けたら厳しいですね」
「なにを貴女はすでに私の手の届かぬレベルの実力を持っているでしょう」
「法皇天馬閃槍翔破!」
ラクレーナは数十匹を消し飛ばしエラナたちの下へ舞い降りてくる。
「エラナ、限がないわ。陣を張るのにどれだけ待てばいい」
「詠唱に30秒、展開に20秒、最終発動に10秒で1分ぐらいね」
「1分時間を稼げばいいのね」
そう言いラクレーナは飛ぶ。
「手段があるなら協力しましょう」
フェーナはエラナを守るように不死鳥を展開させる。
「やれやれ」
そう言い、エラナは法皇の杖を呼び出す。
「法皇セレネイドよ我が呼びかけに応じ我に降臨せよ!」
エラナはセレネイドを降臨させると詠唱をはじめた。
「υομοζαντοκρατωρδικαιοσυνη・・・」
古代神聖語で唱え始めた。
エラナが詠唱をする間、ラクレーナとフェーナはエラナを守るように1匹づつではあるが数を打ち減らしていく。
「αναπτυχη!!」
エラナの力強い言葉とともにエラナを中心に円形の陣が広がっていく。
「螺旋旋風陣!」
ラクレーナの技で魔神獣達が竜巻に巻き上げられ身動きが取れなくなる。
『法皇終焉陣(ラグナロク・セレネイド)!』
発動と同時にすべての魔神獣が消え去った。
「ご苦労さま」
天馬との融合を解除し、ラクレーナがそう言う。
「冥王陣・冥土魔封陰!」
少し離れた場所でセレナがエラナの陣に入っていなかった最後の魔神獣を消し去った。
「やはり、来ていたのか」
フォーラルがエラナにそう言った。
「念のために一応監視はしていましたから」
「できれば、私の方も手伝って欲しかったわ」
セレナが文句を言う。
「こちらの数に比べれば数はしれていたでしょう。それにあの程度倒せない相手ではないでしょう」
「まぁね、だけど準備しておいた呪符のほとんどを使ってしまったわ」
「いざとなれば呪符なしでも発動できなくはないでしょう」
「できなくはないけど、呪符を使ったときの何分の一かの力しか発揮できないわ」
セレナが得意とするのは魔道コントロール、それにおいてはエラナですら太刀打ちすることはできない。
「まぁ、どちらにせよこれでアルウスの手ごまの魔神獣の半数は滅ぼしたことになるわ」
エラナはそういう。
「私を囮としたのか」
フォーラルが反発する。
「ある意味そうなりますね。ですが、考える上での最強の護衛はつけたと思います」
「まったく、皇帝陛下を囮に使う作戦もどうかと思うわよ。最初聞いたとき、耳を疑ったわ」
ラクレーナが答える。
「そなたは知っていたのか」
フォーラルが尋ねる。
「結果的に陛下をだますことにはなりましたけど、知っていたのは私とエラナだけで考えたことですよ。大きな戦場では派手な戦いはできませんからね。こうでもしないと魔神獣達をまとめて倒すことはできませんでしたから」
「敵をだますにはまず味方から、兵法に乗っ取ったまでですよ。ただ、どちらにせよ陛下には馬族との交渉はしていたかなくてはいけませんでしたが」
「私が死ぬようなことがあったらどうしたつもりだ」
「そのためにセレナに同行するように命じたのです。もし私が駆けつけるのが遅れたとしてもセレナの防御結界ならたとえ軍王相手でも防ぎきることはできるでしょうからね」
「妹の私までだましたのですね」
「私もあえて知っていて黙ってたのですから」
フェーナがそういう。
「貴女には未来視もあるけど、あらゆる偽りを見抜く力もありましたね」
「完全に見破ることはできませんけどね」
「セレナ、陛下には優しくもらえましたか」
エラナはそっとセレナの耳元で囁く。
「お姉さま」
セレナは顔を赤くする。
「レーナ、後は任せます」
「わかったわ」
ラクレーナの返事を聞くとエラナはフェーナとともにその場から姿を消した。

翌日、フォーラル、セレナ、ラクレーナの3人は馬族がいる高原に到着した。
「ティアラさん」
セレナは知った顔を見かけ声をかけた。
「セレナ、久しぶりね。3年ぶりぐらいかしらね」
「急に学院をやめられてどこへ行かれたかと思ったらここにいたのですね」
「ラスティーク師、ルキシードさん、エラナ以外には話してませんでしたね」
「なにがあったティアラ」
小柄だが、がっちりとした体つきの男がティアラを呼んだ。
「古い友人が訪ねてまいりましたので」
「学院時代のものか」
「セレナ・フレアと申します」
セレナが挨拶をする。
「セレナ・フレア、以前そなたが話していたエラナ殿の妹か」
「お姉さまをご存知で」
「ティアラそれに、ラクレーナ、エラナ3人に随分と派手にやられたたな」
ティアラがにらみつける。
「すまん、自己紹介がまだだったな。俺はボルス・レフォーク」
「では貴方が族長で」
「貴殿は」
「申し送れた、フォーラル・アルスタークと申す」
「では、あなたが皇帝陛下か」
「お姉さまからこれを」
そう言いセレナは書状を手渡す。
ボルスは書状を見て、唖然とした。
「まったく、なんっつ書状だ」
そう言い、フォーラルに手渡した。
『ボルスへ
 一族すべての兵を率いてリクイド城に参上せよ
 仕えるは目の前の皇帝フォーラル

        帝国軍宮廷魔術師エラナ・フレア』
エラナの書状にはただそれだけ書かれていた。
「なんとうい書状だ」
フォーラルはため息をつく。
「わかりやすくていいがな、どちらにせよエラナとの約束を違えるわけにはいかないからな」
そう言いボルスはフォーラルに向かい膝をつき臣下の礼をする。
ティアラも続いて臣下の礼をした。
「ありがたく思う。だが約束とはなんだ」
「ボルスが私との求婚をエラナに頼んだときの約束ですよ。エラナが兵を欲したときすぐにでも参内すること、それが約束でした」
「そうすると、エラナは3年も前にこうなることを予測していたのか」
フォーラルは驚きを隠せなかった。
「エラナは当時からアルウスのことについてはいろいろと考えておりました。実際のところボルスとの婚約も私がエラナの力になりたかったからです。もっとも本当は私の方が先にボルスを好きになっていたことありましたけど」
「なるほど、二人とも互いに気持ちを伝えれないところをそれぞれエラナに相談したということか」
「エラナにはボルスと私と別々の約束をさせたのですから、エラナには随分とだまされましたけど、後悔はしておりません」
「ふむ」
「陛下、今日はもう遅いゆえ明日の朝には出立する準備をさせます。今日はここでお休みください」
ボルスはそういう。
その日、ボルスは村のものすべてを集め宴席をひらいた。

翌日、ボルスは一族3万の騎兵を率いてリクイド城へ向かい出立した。フォーラルらもこれらに加わり、行きは3人だった一行も3万の軍勢となった。

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