幻水の作家な気分

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第二部  第二章 新たな力

第二章新たな力

翌日、エラナとサリナは村を出て騎士達と合流した。
「回廊を開けました、こちらを通っていくといいでしょう」
フェーナが見送りに現れ、森の中に道を示した。
「有難う、ではフェーナ、またいずれ」
「そう遠くないでしょうが、いずれ」
フェーナを後に、エラナは騎士達に進軍を命じる。
そして回廊を抜けたそこは、森を通りこした場所だった。
「地図ではかなりの距離ですが、あっというまでしたね」
黒騎士の1人が尋ねた。
「本来はエルフ達だけが仕える特別な通路です。そう何度も利用できる回廊ではありませんよ」
砦を出発して10日目の朝早く、エラナ率いる騎士団は都市を目にできる位置まで来ていた。ただ、エラナが予想した通り霧に覆われ実際に目で確認はできない。
「アルベスは北門、フォンズは西門、ボルドは東門をそれぞれ500騎を率いて攻めてください。私は南門を攻めます」
黒騎士3名にそれぞれ指示を与える。
1時間後、各門が一斉に襲撃された。深い霧と早朝早い事もあり見張りの数は少なく全方から攻めたことによりどれだけの数の襲撃があるのか把握ができないでいた。
攻撃開始から2時間経ったとき、エラナは城主の椅子に腰を下ろしていた。
部屋には、サリナをはじめアルベス、フォンズ、ボルドの3人の黒騎士、それとラクレーナの姿があった。
「投降、もしくは捕虜にしたものがいますけどどうしますか」
ラクレーナが尋ねる。
「数はどの程度です」
「3000ほどです」
「下手に組み入れないほうがいいでしょう。ベネラルが来るまではそのままにしておきます」
「わかりました」
「それとエラナ様、反乱軍の兵器と思われる筒を数点手に入れましたが」
アルベスが申告する。
「あとで見させてもらいましょう。他に」
「住民の代表が来ております」
ボルドが答える。
「先に合うとしましょうか」
すぐに住民の代表が3名入ってくる。同時にそれが若い女性が玉座に座っていることに驚いた。
「こちらが、帝国軍国境防衛軍総参謀長エラナ・フレア様です」
騎士の一人が村人の代表にエラナを紹介する。
「こちらから要求はありません。我が軍に逆らわない限り、これまでどおりにしていただければ結構です。必要なものがあるなら申しなさい」
「では、一つだけ軍が駐留するのに我々から調達した食料を返してもらいたい」
「いいでしょう、全部といくか分かりませんが、アルベス、倉の一つを開放し住民に与えるように指示をなさい」
「畏まりました」
「有難う御座います」
そういい、住民の代表達は謁見室を後にする。
「他には」
「謁見を求めている者は以上です」
「では、さきほどの兵器とやらを見せてもらいますか」

城の広間へ行くとそこに大きな鉄筒が車輪がつけられたその物が置いてあった。
「なるほど、砲ですか」
「ご存知でしたか」
「以前にこっちの方へ来ていた事がありましたからね。火薬を使って中の鉄球を遠くへ飛ばすものです。投石器の威力を増したものだと思ってもらえばいい」
そういい、筒をじっくりと観察する。
「なるほど、これでは数発撃てば筒が砕けるといいますが、それも納得できますね」
「数発だけですか」
ラクレーナが尋ねる。
「火薬の爆発にこれでは耐え切れないのは明白です。といって鉄筒を厚くすればと考えるでしょうけど、そうすれば筒が重くなりすぎ車輪で移動することが叶わなくなります。固定兵器とするならそれでもいいでしょうが、それでも限界は出てきます。城壁に設置して暴発したりしたら城壁に被害を出しますゆえ適切ではない。使い捨ての兵器ですね」
「数がこれだけでは私達が使う意味はありませんか」
「そうでもないわ、これだけの数でもこれが使い捨てでなく無限に撃つことができるならば価値はありますよ」
「しかし、先ほど何度も使えないと」
「このままではね」
「魔法の力を使うのね」
ラクレーナがそれに気がつく。
「そう、私の魔法は攻撃魔法だけではありませんからね。私が初代学院最高導師以来の魔道師と呼ばれるわけを見せてあげましょう」
そう言うと、エラナは筒に手を当てる。
「永続魔法力付与(クリエイト・エンチャント)!」
多くの魔術師は一時的に物体に魔力を付与させることはできる。だがエラナはそれを半永久的に付与させることができる。これこそが初代学院最高導師以来、誰一人と習得しえなかった魔道技術である。
「全て魔力付与するわよ、付与したものから東門に設置しなさい」
エラナが全ての砲に魔力付与を終え砲を設置し終えた頃、門へ向かって反乱軍が逃げてきた。
「エラナ様、ベネラル卿の軍が追撃してる模様です」
黒騎士フォンズが伝える。
「砲の準備をさせなさい。レーナ、砲の射程ぎりぎり範囲に到達したら合図を」
「分かりました」
レーナはもともと山育ちであることもあり目がいい。
「A班点火!」
「撃て!!」
発射はエラナが指示を出す。
「B班点火!」
「撃て!!」
大砲は玉の装填から点火、発射までの時間がかかる。エラナはそれを3班にわけて砲撃させることによって次弾までの時間を埋めた。
「よし、討って出ますよ、レーナ、留守は任せますよ」
「了解」
エラナは騎士団1000騎を率いて討って出た。
すでに反乱軍は混乱しておりエラナの突撃が止めさすことになった。
「ベネラル」
「エラナか」
「城は占拠してあります。入城しますか」
「そうだな、ここ数日の戦いで皆疲れていることだろう。休ませてやりたい」
「ここにはどれだけの兵を連れてきていますか」
「砦に15,000を残してきた。犠牲がどの程度でているかは分からぬがそちらとあわせても4万以上はいるだろう」
「半数以上は城外で陣を張ったほうがいいですね」
「逃亡した反乱軍が援軍を引き連れてきたとして最低でも5日はかかります。夜襲の可能性も考えなくもありませんが、おそらくそれは無いかと思います」
フォーラルが言う。
「多少の傷を負ったものは教会騎士団の方で治療を済ませてあります。救えなかった者もおりますが、犠牲者は2,000にも満たないかと思います」
ラルクがそう報告する。
「詳しいことは城内でということで城へ向かいましょう」
フォーラルが提案する。

城内へ入るとエラナはベネラルを謁見の間に案内した。
「皆の者ご苦労であった。この度の戦我が軍の完全勝利と言えるだろう。フォーラル、そなたの作戦指揮見事なものであった」
「有難う御座います」
「エラナ、一兵の犠牲無く城を手に入れるとは見事なものだ」
ベネラルはそれぞれの将を称えていく。
その後、ベネラルはエラナから城内の様子と彼女が指示した内容の説明を受ける。
「勝手が過ぎたかしら」
「構わん、この城を手に入れた功績はお前のもんだ。事実上はお前がここの太守となる権利を持っているのだからな」
「太守になるつもりはないわよ。それこそアルウスの思う壺ですからね」
「そうだな」
「で、これ以後の侵攻はどうします。請け負ったのは国境に集結していた反乱軍の対処、壊滅させた上は達成したことにはなるけど」
「一度帝都に報告する必要はあるだろうな。城を取る事までは命じられたわけではないからな」
「全面戦争になる可能性もありますからね」
「もしそうなるなら、あとこの地区のあと二つの城は落としておきたいですね」
フォーラルが提案する。
「距離も近いですから抑えておいたほうがいいですね。ただ兵を分散させるには兵力が不足していますよ」
「どちらにせよ、これ以上戦線を広げるのでしたら、陛下に報告する必要はありそうですね」
「確かにな、エラナ」
「なんです」
「確か帝都までお前なら瞬時に行く事は可能だったな」
「行けますよ」
「今日中に報告書をまとめる、すまぬが明日明朝に帝都まで行ってもらいたい」
「わかったわ、レーナ、貴女はどうします」
「私はそろそろ聖王都へと思ってます」
「聖王都か、スティールとフェルド宛に手紙を渡してもらいたい」
「畏まりました」

翌朝、ラクレーナは近くに潜んでいた自らの天馬を呼び寄せた。
「これをスティール、こっちをフェルドに渡してくれ」
そう言いベネラルは2通の手紙を渡す。
「確かに」
「レーナ」
そういいエラナは、レーナにイヤリングを一つだけ渡す。
「これは?」
「私のこれと対になっているものです」
そういい、自らの髪を手でよけ左耳を見せる。
「リングを手にして私を呼びかければ話をすることができます」
「ありがとう、エラナ」
「それでは気をつけてな」
「またいずれお会いいたしましょう」
そう言いラクレーナは天馬に跨ると一気に舞い上がり、南へと飛び立つ。
「さてと、私も行くわ」
「ああ、頼んだぞ」
「フォーラル、私がいない間は貴方に任せます。ランフォート、レイネートは指示はフォーラルに聞きなさい」
「わかりました」
「サリナ、貴方は私と一緒にいきますよ」
「はい」
「では、いってくるわ」
「うむ」
ベネラルの返事を聞き届けると、エラナとサリナはその場から姿を消した。

エラナは帝都にある学院の自室に転移した。
「サリナ、貴方はここで待っていなさい。私は城へ行ってきます」
「はい」
そういい、エラナは部屋を出た。
「エラナ、いつ戻ったのですか」
声をかけてきたのは、姉弟子のメリア・ルキシードだった。
「今戻ってきたところです。前線の報告に戻っただけですから、また戻るかもしれませんけどね」
「そうですか。アルウスが側近の多くを重役につけはじめてます。気をつけるといいでしょう」
「情報感謝します」
そういい、メリアと別れるとそのまままっすぐ城へ向かった。
「国境防衛軍総参謀長エラナ・フレア殿です」
呼ばれエラナは皇帝の前に向かう。
「ご無沙汰しておりました。エラナ・フレアです。国境防衛軍総司令官ベネラル卿より書簡を預かってまいりました」
「ご苦労」
そういい、エラナより書簡を受け取る。
「ほう、もうすでに反乱軍を壊滅させ反乱軍の城まで手にいれたか」
皇帝のその言葉にざわめきが起こる。これまで何度も防衛してきたがこれほどの短期間で城まで占拠できたものはいない。
「このまま戦線を広げてよいものかと陛下のお言葉をと思いましてご報告に参上したしだいです」
「なるほどアルウス、どう思う」
脇に控えるアルウスに尋ねる。
「前線を広げるのは簡単でございますが、現状の兵力では不足いたしましょうが、兵をどこからか出す必要があるでしょう」
「サーソス城、リモール城の兵力はどの程度ある?」
「サーソス城に4騎士団、リモールに2騎士団、騎兵隊、歩兵隊をあわせて50万かと」
皇帝の弟でもあるブラネス黒騎士団長が答える。
「ベネラルを反乱軍討伐総指令官、エラナを軍務尚軍務事務次官とするものとし反乱軍討伐総参謀長に任ずる。尚、サーソス城とリモール城の兵全て、及び教会騎士団を指揮下に置くものとする」
皇帝の発言におどろいたのはアルウスだった。ベネラルとエラナに帝国軍のおよそ5分の2にあたる兵を与えたのだ。
「陛下、それだけの兵を動かしては国内が手薄になりますぞ」
「いずれ滅ぼさねばならぬ相手であろう」
「ですが」
「くどい、残る兵力で帝国を守るのはそちらの役目であろう」
「陛下、私に提案がありますがよろしいでしょうか」
「言って見よ」
エラナが語ったのは帝国内部の兵力の配分方法だった。帝国内の隅々までエラナは覚えている。
「なるほど、ブラネスどう思う」
「何も言うことは無いかと思います」
「よかろう、ブラネス、そのように配備させよ」
「畏まりました」
アルウスは悔しがったがどうすることもできなかった。エラナが示した案につけいる隙がない。たった数分の間にアルウスはこつこつと帝都内に集めた側近をばらばらにされたのだ。重要な要所は黒騎士団派に抑えられた形になっている。このときアルウスがエラナを無視できないものとなった。
「これまでだ、エラナ、あとで余の元に参れ」
「畏まりました」
皇帝が退席するとそのまま謁見は終了した。
エラナがちらりとアルウスを見ると睨みつけるようにこっちを見ていた。
「昇格おめでとう」
声をかけてきたのはブラネス黒騎士団長だった。
「有難う御座います」
「黙って引き下がるアルウスでは無いぞ」
小声でそう言う。
「承知の上ですよ。ただこれで数年はこっちには戻ってくることはできないでしょうね。それで頼みたい事がありますがよろしいですか」
「なんだ」
「私の公爵領、セレナがおるゆえ大丈夫だと思いますけど有事の場合はお願いします」
「お安い御用だ」
「一大事です!」
突如、騎士の一人が駆け込んでくる。
「何事だ」
ブラネスが尋ねる。
「北の古代竜が活動を再開し数百の竜を引きつれこちらへ向かっているとのことです」
「北の古代竜、たしか500年前に初代皇帝王妃に討伐されて傷を癒すために休眠したというあの竜ですか」
多くの古文書を読み漁ったエラナはそのすべてを記憶している。
「話には聞いた事があったがまだ生きていたとはな」
ブラネスが言う。
「普通の竜でも数千年、古代竜にいたっては数万年の月日を生きますからね」
エラナが答える。
「直ちに討伐隊を編成しろ」
アルウス派の将軍が命じる。
「ドラゴン相手に兵を差し向けてどうにかなるものではありませんよ。無駄な犠牲を出すだけです」
エラナが反論する。
「何もせずに見ていろというのか」
「見ていろとはいいません。少数の精鋭に限定するだけです。もっとも今の帝都ではそれだけの実力者は集まらないかと思いますけどね」
「実力者がおらぬとはききずてならんぞ」
「ではお聞きしましょう。もし軍を率いて向かうのでしたら自ら行くと名乗られる方はおられますか」
エラナの問いに返答するものはいない。ブラネスはエラナの言葉の意味を察し名乗りでることはしなかった。
「でしょうね、貴方たちはここでじっくり見物しているといいでしょう。これだけのドラゴン、しかも初代皇帝王妃が倒しきれなかった古代竜、相手にとって不足はありません」
「一人でいくつもりか」
ブラネスが尋ねる。
「あの時のメンバーでしたら、私と組む事はできるでしょうけど、今は前線にいますからね。それに本気で戦うなら一人の方がやりやすいこともありますからね。ただ地形が多少変わるかもしれませんけどその点は了承してください」
同時にエラナは自らの杖『法皇の杖』を呼び寄せる。
「なっ」
エラナの杖の召還に驚いたのは宮廷魔術師だった。
王宮内は魔道での進入等を防ぐために魔法が使えないような結界が張られている。その結果内で杖を呼び寄せたのだ。それは宮廷魔術師である彼にもできぬことだった。初代皇帝王妃、いや初代学院最高導師エラナ・アルスタークの結界でそれをなしたのだ。
エラナが法皇の力を源にしているが故ではあるが、宮廷魔術師の彼にはそこまでは理解できない。
「ブラネス卿、念のために住民の避難とうはお願いします」
「わかった」
聞き届けると瞬間移動でエラナは姿を消す。

城内から姿を消したエラナは城の上空にいた。
「取り巻きの竜はそれほどでもないけど、あれだけいると厄介ですね。先に片付けますか」
そういい、そのまま竜の軍団へ向かう。
城から数キロ離れた地点で竜の軍団と遭遇した。
「貴方たちが憎いわけではありませんが、私の願いの為に散ってもらいますよ」
竜達は目の前に立つエラナを邪魔するものであることを瞬時に理解したのか襲いかかってくる。
「氷傷凍射(フリーズ・ブラスト)!」
放った氷の柱が数匹のドラゴンに突き刺さる。同時に突き刺さったその氷の柱を中心に完全に凍りつきそのまま地面に落下していく。
上空で凍りつき地面に叩きつけられたドラゴンはそのまま粉々に砕け散る。
もともと単独で行動するドラゴンだが目の前で同属がやられて黙ってることはない。
だがすでにエラナは次ぎの術を完成させている。
「極魔氷閃撃(フリーズ・ヴォルド)!」
先ほどの術の威力とは桁外れに違う、学院でも使えるものはほぼ皆無とされている。氷系等の魔術では最高位の術である。
初代学院最高導師の再来とまで言わせたエラナの魔力は並みの魔術師の数倍、いや数十倍の実力はある。一気に半数近いドラゴンを討ち減らす。
だが、どうじにエラナに向かい闇の閃光が飛んでくる。
「最強攻撃浄化魔法(ホーリー・ブレス)!」
それは闇の閃光と打ち消しあった。
「ダークブレス、やはり暗黒竜ですか。魔皇クライシストの配下だったものですね」
エラナの脳裏に法皇セレネイドから吸収した知識が流れ込んでくる。脅威力5000、当時はそういう認識がされていた。神々の中から見れば雑兵レベルだが人間から見れば圧倒的な存在、そして現時点でのエラナの力を評価するならば500前後、完全に法皇の力を引き出しても1100、5倍以上の力をもつ相手ということになる。
「知識はありがたいけど、解ってしまうのも考えものね」
そう呟くが、自然と負ける気はしなかった。今でこそ解るがあのエラグラスの実力は1万近かった。仲間といっしょだったとはいえエラグラスに勝利しているのである。恐怖はなかった。
『我に眠る法皇の力よ、我が声に答えその力を示せ』
自らにそう念じる。
「法皇審判(ジャスティス)!」
「がぁぁぁぁぁっ!」
古代竜の叫びだった。
「一撃と言うわけにはいきませんか」
今の一撃で取り巻きのドラゴンはほとんど壊滅したが、古代竜は無傷に近かった。
『この我に傷をつけるとは許さぬぞ』
神々の時代の言葉であったが、エラナにはそれが理解できた。
「全く効かないわけでもないといったところですか」
『何発も撃つつもりか、そうはさせぬぞ』
そう言うと古代竜は咆哮とともに小さくなっていき、人型になる。
相手は巨大であることもあったので、スピードで凌駕することも考えたが、相手が人型に変化してはそれも難しくなった。
『人間である私を評価してもらえるのですか』
『人間など評価はせぬわ、小ざかしいと言っておるのだ』
『なるほど、ならば私はこうでもいいましょうか。かって貴方を休眠までに追い込んだ人間の魔道師の血を引くものと』
『なんだと』
彼が人を恨み竜を引き連れてまで人間の街を襲おうとしたのはそれがゆえである。
「法皇審判(ジャスティス)!」
隙をつくようにエラナは放つが古代竜はそれを回避した。
『そいつだけは痛いのでな』
『まともに食らえばただではすまないでしょうね。特に魔皇クライシスト配下である貴方にはね』
古代竜はエラナが手にする杖が法皇のものであることはわかる。実際に対峙したことはないとはいってもそれぐらいは理解できるが、真に法皇が使っていた『法皇の杖』であることまでは知りえない。法皇が自らに配下に与えた模造品があるゆえである。最も法皇の力を源にしていたので法皇が滅んだ今に残っていないのだが彼には理解できなかった。
(さすがに連発するには力を消耗しすぎますか、あと打てて3発程度ですね)
法皇の力を使えると行っても自身の実力よりは圧倒的な強力な術、制御するために消耗する力は半端なものではない。
『一撃必殺ができない以上、こうするしかありませんか』
「法皇剣(セレネイド・ソード)!」
法皇の杖が剣へと変化を遂げる。
『剣で我に勝てるとでも思っているのか』
同時にエラナの姿が何人も姿を現す。
『魔道剣術奥義・法皇幻影剣舞!』
『魔道と剣術の融合か、だが当たらねば意味はないぞ』
エラナの攻撃を次々と避けていく。
「最強攻撃浄化魔法(ホーリー・ブレス)!」
多重方向からの魔法攻撃、回避不能な状況を作り出すことが目的。
『小ざかしいわ』
古代竜は魔力を開放し防御壁を作り出す。
「超熱魔閃砲(フレア・キャノン)!」
『なんだと』
エラナはすでに浮遊魔法、法皇剣、光速移動、最強攻撃浄化魔法を維持している。その上で高位魔術をさらに詠唱したのだ。
これだけの魔力キャパシティでは神々が生きた時代でも高位レベルのものでなければできなかったことである。
『これでも無理ですか』
古代竜に傷を負わせることには成功したが倒すまでにはいたっていない。それでもかなりの力をそいだことにはなるが、それでもまだ相手の実力は自らを越えている。
『じっくりいたぶってやろうかと思ったが、許さんぞ一気に消し去ってくれるわ』
『竜魔暗黒咆哮(アーク・ブレス)!』
闇の竜が放つ最高位の技である。
「法皇剣(セレネイド・ソード)!」
エラナは左手で盾を出現させるとそれを受け止めるが、それが防ぎきれないのは確かだった。
『そのまま消え去るがいい』
その瞬間、エラナの姿が消える。
『がぁぁっ、いつの間に』
エラナが維持していた法皇剣が古代竜の体を貫いていた。
「法皇審判(ジャスティス)!」
エラナは剣を突き刺すと同時に相手の体内に叩きこんだ。
『なぜ、我は人間ごときに2度も・・・』
『私はここで死ぬわけにはいかない。長い時を生き過ぎた貴方は生きようとする執念がない。もっとも私は賭けでしかありませんでしたけどね』
そう言うエラナの左腕は力なく垂れ下がっていた。
『まぁいい、最後に楽しめた・・・』
そういい、古代竜は消えていった。
「やれやれ、さすがにもう回復する魔力は残ってないか」
そう呟きそのまま転移した。

次にエラナが姿を現したのは、帝都の玉座の間だった。
知らせを聞いた皇帝が玉座に戻って暫くしてのことで朝のメンバーが勢ぞろいしている真ん中に姿を現したのだ。
エラナは、皇帝の姿を確認すると
「古代竜他、壊滅・・・」
それだけ言うとエラナはそのまま気を失った。
「エラナ殿」
ブラネスが駆け寄る。
次にエラナが目を覚ましたのはベットの上だった。
「気がつかれましたか」
サリナだった。
「気がついたか」
パーパリン総大司教も同席していた。
「つぅ」
左腕に激痛が走る。
「申し訳ありません。私の回復魔法でも完全に癒すことはできませんでした」
「我が神殿内にもそれだけの傷を回復できる者はおらぬ」
パーパリン総大司教が申し訳そうにそう言う。
「闇の力が原因ですから、並みの回復魔法で回復できないのは当然です」
そう言うと、自らの魔力がある程度回復した事を確認したかと思うと、左腕に手を当てるとそのまま自らその腕を消し飛ばす。
「なっ、なにを」
だがその理由を彼らはすぐに知る事になる。消滅と同時にエラナの左腕がそのまま再生し始めた。
「傷の回復を待つよりこちらの方が早いですから」
エラナはそう言うが、身体の部分再生はたしかに神聖魔術に存在するがあまりに高度な術のため使えるものはほぼ皆無といわれるほどなのである。
「サリナ、私の着替えを」
そういい、ベットから出ようとする。
「まだ回復しきってはおらんだろう」
「戦うわけではありませんから問題ありませんよ」
そう言いながら着ていた寝具を脱ごうとする。
「わ、私は外で待つ」
あわててハーパリンは部屋を出て行く。
サリナがあわてて着替えをエラナに手渡す。
「さて、陛下に挨拶をしにいかねばなりませんね。サリナは先に戻っていなさい」
「わかりました」

エラナは神殿を出ると、ハーパリンが用意した馬車に乗るとそのまま宮殿へ向かった。
「陛下にエラナが参ったとお伝え願います」
近衛騎士にそう伝える。
「畏まりました」
エラナはすぐに皇帝の部屋へと通された。
「御心配をおかけし申し訳ありません」
「無事でなによりだ、だが余も年だ余計な心配はさせんでくれ」
「はい」
「しかし、これでそなたは初代学院最高導師を越える魔道師の称号を得るわけだが」
「そう言うことになりますね」
「どんな位が欲しい。言って見るが良い」
「位が欲しくてやったわけではありません。自らの実力を試したかった、それだけです」
「どちらにせよ、次期最高導師の位はあるということか」
「選考基準にはなるでしょう。ですが、現時点でこれ以上の位を得るは他の方の位を奪うことになります」
「遺恨は残したくないと申すか」
「今の帝国は陛下を中心に一致団結しているとは思えません」
「だからこそ、余はそなたに期待しているのだ」
「ありがたきお言葉です」
「だが、他の者の位を奪わずとなると新たに位を設けるしかないな」
「誰か、ブラネスを呼んで参れ」
部屋の外に控える近衛騎士にそう命じる。
しばらくしてブラネスが部屋に入ってくる。
「ブラネス、エラナにこのたびの古代竜討伐の褒美をとらせようと思うが、他人の位を奪ってまで得たくはないと申している。そこで新たな位を設けようと思うがなにか良い案はないものか」
「第四位の王位継承権というのも考えんでもありませんが、公示していないだけですがエラナにはその資格がありますからな」
「そうだったな、フレア家にはそれがあったな」
「エラナ、すまぬが名誉勲章と褒章で構わぬか」
「それで十分です」
翌日エラナに対する授与式が執り行われた。
勲章と褒賞として現在の公爵領の半分の領土、今後一代に限り領土内においての税収は帝国に対して納める必要がないとするものだった。
その一方でエラナは学院最高導師ラスティークより次期最高導師の位を約束され、正式に発表された。
この一件によりエラナの名前は帝都中に知れ渡り一気に国民の注目を得る事になった。
授与式を終えるとエラナは、総大司教ハーパリンを尋ね教会騎士団全軍10万騎の指揮権を受け取った。

エラナが教会騎士団を率いて帝都を出立、サーソス城・リスタール城の兵をまとめてベネラルの待つ最前線へ到達するには冬の到来もあり3ヶ月の時間を有した。
教会騎士団10万騎、騎士団15万、騎兵隊15万、歩兵隊20万の総兵力60万とブラネスよりたくされたベネラル指揮下の黒騎士団1万500騎であった。
最前線のベネラルの4万と合流したが、さすがに65万を越える軍隊となると城に入りきれずほとんどは城外に陣をしくことになった。
「ご苦労だったな」
到着したエラナにベネラルが声をかける。
「これだけの軍勢となると進むの遅い。時間がかかりすぎたわ」
「そればかりは仕方あるまい。しかし、そなたのあてもはずれたな」
「陛下に直接仕えることですか、それ以上のものを手にできましたから問題ないでしょう」
「こちらの方が動きやすいか」
「で、現状はどうなっています?」
「反乱軍も兵を集め始めてる。まだ10万程度だがな」
「では、まずは残る2城を押さえて地盤を固めるとしますか。早々に2城を落として各城には1騎士団をおけば十分でしょう。残りを最前線に配置して反乱軍と対峙されましょう」
「わかった。明日の朝にでも動くか」
「早い方がいいですからね」
翌日、出立して3日後にはそれぞれの城を包囲したが圧倒的な兵力の差にそれぞれの城主は戦うことなく降伏した。さらに2日、ベネラルとエラナは最前線に残る全軍57万5000を終結させた。
陣を完成させて5日後、反乱軍も軍を集結させたその数120万であった。

「どう動く」
「数ではこちらが少ないですが、反乱軍は9割が騎兵隊、歩兵隊で民兵といってもいいですからそれほど警戒する必要はないでしょう」
「正面からいくのか」
「私もそれには賛成ですね。正面から戦い実力の差を見せ付けるのがいいかと」
フォーラルがそう言う。
帝国は徴兵制度をもたない。全ての兵が軍人として帝国軍に所属するものばかりで士気の高さが違う。
翌日、帝国軍と反乱軍は対峙したが決着がつくまでに半日しか有しなかった。帝国軍の完全勝利といってもよかった。反乱軍は50万以上の戦死者を出し戦場を死体で埋め尽くした。また生き残った反乱軍の兵士の多くが傷を覆い、無事なものは10万にも満たなかった。
「これからどうする、さらに軍を進めるか」
「それよりはここに砦を建設するが良でしょう」
「なるほど」
「ベネラル卿、かなりの量の食料が手に入りましたが」
サーディンが報告に現れる。
「帝都から持ってきた分と合わせれば半年以上の分になりますね」
「それでも補給をおろそかにはできません。1騎士団と3万の騎兵隊と歩兵隊をそれに当てるべきでしょう」
フォーラルが提案する。
「距離から考えればそれぐらいは必要ですね」
「任せる」
ベネラルはすぐに砦の建設を始めた。それにはおおよそ1ヶ月の時間を有したがその間に細かい戦はあったが、大規模な戦闘は行われなかた。
砦が完成してからは戦いはなかったが、2月が経過した帝都から全軍を撤退させる内容の文章が届いた。
「占領した3城を放棄しろというのか」
「停戦協定ですか。従うしかありませんね」
砦を破壊して撤退を開始しはじめると、エラナも予想せぬことが起きた。
「占領した城の住民の多くが帝国への亡命を希望しております」
「どの程度ですか」
「3城で2万ほどです」
「認めるがいいでしょう。同時に街中に看板を立てその旨を住人に伝えてください。おそらく面白い事が起きますよ」
エラナの指示で看板が立てられ、城から帝国軍が出立するとき住人と降伏していた反乱軍兵士を含め70万がついてきた。
「9割近い数ですね」
占拠した城の統治は最初にエラナが指示した方法で行われが故ではある。
「しかしこれだけの住人をいかがします。難民というわけにもいかないでしょうし、我々が行った統治で納得しているならどこの領土でもいいわけにはいかないでしょう」
フォーラルが述べる。
「私の領地で受け入れますよ。新たに領土を手にはいれましたが住人が足りていませんからね。それに収容できない分は私からハーパリン殿にでも頼みますよ」
「任せる」
「はい」

住人を引き連れてのため、帝都に帰還したのは4ヶ月が経過したころだった。
「ベネラル、エラナご苦労であった」
「有難きお言葉」
ベネラルが礼を述べる。
「ベネラル、この度の功績により正式に黒騎士団長とする」
ブラネスがそう告げる。すなわちブラネスが黒騎士団長を退位するとの宣言だった。
ブラネスの宣言とともにベネラルの元に槍と鎧が持ってこられる。これこそが初代皇帝が愛用し代々の黒騎士団長に受け継がれてきたものであり、初代皇帝王妃が作った魔法具として最高位のものである。
ベネラルはそれを受け取る。
「ブラネス、以後はリクイド城太守としてリクイド城を治めよ」
「はっ」
「ベネラル、黒騎士団長就任に付き議会への参加を命じる。エラナ、そなたを内務省事務次官に命じ議会へ参加を命じるものとする」
これでベネラル、エラナ共に帝国内内政に関与する権利を得た。
ベネラルはそのまま正式な黒騎士団長継承の儀式を執り行い。エラナは学院に戻ると正導師の位に付き事実上の学院ナンバー2となった。この時、エラナ19歳であり、学院最年少の記録をさらに更新した。
ベネラル達以外にも昇格したものは多かった。
フォーラルは黒騎士団参謀長に、サーディンとブラッサムが黒騎士団副団長となり、ラルク・ハーパリンが第一教会騎士団長に就任した。
学院では、ランフォート・フレア、レイネート・フレアが正式にフレア公爵領の学院に転属が命じられ準導師から導師になった。
他にサリナ・フローリアが侍祭として大神殿に勤めることとなった。
それらの処理が行われる一方で、ベネラルとエラナが連れ帰った公国の難民70万人は大きな問題とされたが、エラナが自らの公爵領で面倒をみることを皇帝ラトールが認めたためフレア公爵領の領民は一気に膨れ上がった。これに対してセレナが処理に追われたが、住居の手配から彼らの働き口まで手配して見せた。
しばらくはこれで帝都も静かになるかと思われたが、2ヵ月後ベネラルが再び国境警備の為に帝都を離れるとアルウスがこれまで以上に動き出した。
エラナは議会にも参加したが、アルウス派の議員が次第に多くなり意見が通らなくなり苛立ち始めたいた。また皇帝ラトールの病が悪化して政治に口を挟めなくなっていた。
その一方で、第一王子で太子のティタンは、周りの取り巻きに毒され、王族の威厳は見られず、政治家達にいいように使われているとしかいえない。

ある夜、久しぶりにエラナは夢を見た。
夢に現れたのは法皇セレネイドであった。
『北の山中、魔皇クライシストが復活する兆しがあります』
それだけ言うとセレネイドは消えたが、エラナはそこで目を覚まし北の方を注意深く魔力を探知して見ると大きな魔力が生まれようとしてるのを感じとった。
『私で勝てますか』
『封印をしたその地に私の力の一部があります』
『これは取引と考えていいのですか』
『貴女に関係することでもありますが、そう思ってもらって構いませんよ。望みがあれば聞きますよ』
『魔皇クライシストの力、私は手にすることができますか』
『何を考えているのです』
『確かに貴女の力は人を相手にするには絶大ですが、これ以上のレベルアップを考えるならば新たな力を手に入れるしかないと考えます』
『なるほどね、一つ聞きますが貴女は人として生きて行く事を捨てれますか』
『目的の為なら』
『いいでしょう、魔皇クライシスト倒せたならその力を貴女に与えましょう。ただし、貴女は本当の終末を見る事になりますよ』
『私に神にでもなれというのですか』
『双子星、それが貴女の定となるでしょう』
『光と闇の力を持つものですか』
『そうゆうことです。それとエラナ、宿した子をどうするつもりです』
『自分で育てて行くつもりですよ。ベネラルには教えれませんけどね。それに生まれてくる子供に罪はありませんからね』
『すでに産んだ第一子と第二子は女子ゆえ問題ありませんが今、あなたのお腹にいる第三子こそがその運命の子供ですよ』
エラナにはすでに14歳と16歳の時に産んだ二人の子供がいる。これは妹のセレナすら知らないことである。長女がエレナ、次女がフォンといういう。二人の子供は現在は帝都のミレーラ・フローリアの神殿に預けられ育てられており、事実をしっているのはそのミレーラ・フローリアと真実を聞いているラクレーナ、預言者フェーナの三人だけである。
『承知の上です。終末皇帝にはしない。もしなるようなら私自身で止めて見せます』
『じっくり見させてもらいましょう』

翌朝、エラナはセレネイドに示された北の山中に向かった。
「火口近くゆえ、人が来る場所ではないはずだけど、数日前に通った後があるわね」
そこからさらにしばらく山を登ると小さなキャンプがあり、武装した数名の男がいた。
「外に二人、テントのなかにあと1人、山頂に5人いますか」
相手もエラナの姿を確認すると、武器を手にした。
「わかりやすい人たちだ」
だが、彼らはエラナの姿を見たとたん同様が見えた。
「竜殺しのエラナ・・・」
エラナが古代竜をたった一人で倒した話は知らぬものはいないほどで、すでに話が大きくなりよりエラナを人間離れしたものとして語られていた。
「抵抗するなら命はないものと思いなさい」
彼らも自分たちでは相手にならないことは承知していた。そして彼らを雇った主はそこにはいない。
彼らは顔を見合わせるとそのまま逃出した。
さらに火口に近づくと、そこでは6人の姿があり、儀式を執り行っていた。
「やはり来たかエラナ」
6人のうち3人はエラナの知った顔だった。
一人はエラナと瓜二つ、双子の妹ミレナ・フレア、そして二人の両親ラード・フレアとレリーナ・フレアであった。
声を掛けてきたのは父であるラードであった。
「とめさせてもらうわよ」
「姉さんの実力でできるならね」
「こうして話すのははじめてねミレナ」
「そうね、これが最初で最後になるかもしれないけどね」
「私も忙しいですからね、最後にしたいわわね」
そういい、エラナは杖を手にする。
「最後にね」
ミレナも同じく杖を手にする。
「氷傷凍射(フリーズ・ブラスト)!」
先に撃ったのはエラナだった。
「魔法消去(マジック・イレイズ)!」
ミレナがそれを打ち消す。
「その程度の術ならで勝てるとでも思っているのですか」
「余計な力は使いたくないんですけどね」
「超熱魔閃砲(フレア・キャノン)!」
「超熱魔閃砲(フレア・キャノン)!」
ミレナも同じ術で対抗し打ち消してくる。
「本気で撃ってきたらどうです」
「七閃超熱魔閃砲(レインボー・キャノン)!」
消耗が激しいため、よほどの事が無い限り使わないエラナの秘策、超熱魔閃砲(フレア・キャノン)を瞬時に7発打ち出す大技である。
だが、ミレナはそれを防げぬと思うと瞬間移動で瞬時に回避する。
しかしエラナの目的は他に儀式を行っていたものを倒すことだった。3人のうち2人に超熱魔閃砲(フレア・キャノン)が命中する。
「魔皇クライシストよ、降臨せよ」
だが、残った一人がクライシストを降臨させる。ミレナも降臨までの時間稼ぎをしていたにすぎない。
「法皇審判(ジャスティス)!」
降臨と同時にエラナの術が発動するが、それは簡単に防がれてしまう。
「使えるものと思ってたけど、やはり使えたのね。通じはしないようだけど」
「法皇セレネイドよ、わが身に降臨せよ」
瞬時エラナはセレネイドを自らに降臨させる。
『法皇審判(ジャスティス)!』
『魔皇審判(ジャスティス)!』
クライシストも放つが、降臨したものの魔力そして降臨しているそれぞれの法皇と魔皇の力の差があった。
あきらかに法皇が勝っている。
「魔皇審判(ジャスティス)!」
放ったのはミレナだった。
これで力は互角だった。
『神々の戦いの再来ですか』
そういうのはエラナに降臨したセレネイドだった。
『よい宿主を持っているな』
こたえたのは魔皇クライシストだった。
『ここに残した力とあわせて20分の2、対してあなたは10分の1、もともと私の方が力は上でしたから、どちらが勝っているかはお分かりでしょう』
『それと宿主の差か』
『エラナはすでに私の正当なる継承者、私の力を完全に引き出せますからね』
「クライシスト、私を継承者として認めなさい」
ミレナがクライシストにそういう。
『汝が我の継承者だと申すか』
「疑うのなら試して見るがいい」
『よかろう、我を降臨させるがいい』
この時、クライシストが放れた。
「魔皇クライシストよ、降臨せよ」
ミレナが降臨させようとした瞬間、呼んだのはエラナだった。
ミレナも遅れて呼ぶが、クライシストはエラナの体に入っていく。
「エラナ、最初っからそのつもりだったか」
ラードが叫ぶ。
「気がつくのが遅かったようね」
魔皇クライシストの力を受け入れるのは法皇セレネイドで経験している。エラナは魔皇の力を簡単に取り入れる。
『見事です』
セレネイドが称える。
「エラナ、この貸しは高くつきますよ」
ミレナはそう言うとそのまま転移した。ラードらもそのまま転移した。残ったのはクライシストを降臨させた司祭だけだったが、すでに降臨させたことにより絶命していた。
「協力感謝するわ」
『封じていた場所があなたの中にかわっただけのこと、私にはそれで十分です。ただしこれからも残りを封じてもらい続けることにはなりますよ』
「すぐにというのは勘弁してくださいね。さすがに封じるのに魔力を消耗しすぎましたから」
『封印が破られる可能性がなければいつでも構いませんよ』

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