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プリンセス・メール  外伝 第一話 首狩り戦争

穏やかな春の風の吹く温かな午後のある日、険しい岩山の山頂から一つの城が落ちてゆくさまを見ている一人の少女がいる。
少女の長い髪が、風に揺れなびいている。
城は、町を城壁が囲んでいるそんな城で、堀はない。
少女の髪は金髪で、髪は腰まであり身長は一二〇兌紊箸い辰燭箸海蹐杷は一〇歳前後といったところである。
高貴な生まれなのか美しい白のドレスを身に着けている。
指には一つの紋章の入った金の指輪を着けている。
だが、そんな少女はたった一人である。
いくら城の近くとはいえ、人間の住んでいる集落を一歩でて、野や森や山などに足を踏みいるならば、そこは魔物の住む弱肉強食の別世界である。
ましてやいま少女がいるのは険しい岩山である、そのような所に少女が一人でいること事態が謎である。
城は、ほぼ攻め落とされ勝ちどきが上がっているようである。
それを見届けると少女は何も言わず山を下り始めた。
向かっているのはあの落された城。
向かう少女の顔には感情が感じられない。
少女が歩だした先は崖だったが、少女はそこからふわりと舞い降りた。
そのまま、落ちてゆくかのようだが、少女は風の中にとけ込み、風に流されるように宙を舞っている。
まるで、鳥のごとく。
宙を舞う少女からは、美しさすら感じられる。

少女が舞い降りたは城の前だった。
城の門の上にはプラム城と書かれている。
王国の紋章らしき物が刻まれているが石で描かれてそれは風化して、その本当の姿を確認することはできない。
城の中では、攻め落とした国の兵士たちが略奪をしている。
金か、女か。
金品を奪い、逆らうならば切り殺す。
いつの世も、同じようなことはおこなわれるが、いつになってもあまり変わりはしない。
実際は、ある程度の略奪行為は大目に見られはするが、すでにその領域は越え、とても正規の兵士とは思えない盗賊の行為である。
事実その国はセナートと呼ばれる大国である。
よくこれで戦に勝てたものだといったところである。
かなり偶然だったと言ってもよく、まずプラム城がかなり大きな城であり、あまり兵を持たない小国であったことである。
プラム城の兵は三〇〇足らず、攻め手のセナートは二〇〇〇である。
もとより、プラム城を三〇〇程度で守れる城ではないし城壁がそれほど高くもない。
そんな訳で、あっさりと城内に入られている。
城内に入られてからの戦は圧倒的な数の差で終わっている。
戦い事態は、半日とかかってはいない。
さらに、プラムにはそれといった者がいたわけではない。
すでに軍律は失われている。
今も又、抵抗した男が一人切り殺された。
兵士たちにとっては楽しみかも知れないが、町の人々はたまったものではない。
城門は開かれ、人の出入りをチェックする門兵の姿すらない。
少女は城内へと入って行く。
兵士たちは少女に興味を持たなかった。
年頃の娘ならばともかく・・・
戦争後は普通ならば、町に出入りするものは止められるものである。
このようなことは兵をまとめる将に影響されるものだが、ここまで行われるのは珍しい。
町の人々には誰にも相手にはされなかった。
少女のことを気にしてる状態ではない、自分たちだけでも大変だというのに少女のことを気にとめてはいられない。
むしろ、少女にはその方がよかった。
城へ入ろうとした少女を門番がせいした。
「小娘、何用で参った。用がないなら立ち去れ」
・・・
「・・・」
少女は何も答えない。
「何か言わぬか・・・その様子からするとどこかのお嬢様かい・・・」
何を言われても少女は門番を睨みつけている。
「答ねえかぁ!」
門番の言葉も激しく荒るが、目の前の少女の顔をよく見て、
「ん・・・お前・・・どこかで・・・」
門番はそう言い懐から一枚の紙を取り出した。
・・・人相書きだった。
その次の瞬間、門番は息をしていなかった。
何が、起こったのかまるで分からない。
少女の指が門番に指し示したその瞬間であった。
微かに、口が動いたのがわかるが何を言ったのかはわからない一つの単語のようなものだった。
少女は門番の持っている紙を取り上げると破り捨てた。
それは、宙に舞った瞬間パッと光ると燃え上がり灰と化かした。
少女は、門番の腰に付けている剣を引き抜くと、その門番の首をはねると中へ進んだ。
少女が門番を切ったことに気づく者は早かった。
「狼藉者だ、ひっとらえよ!」
たった一人の少女に五人もの兵士が立ち向かった。
兵士たちは、少女を完全に甘くみていた、それが命取りだった。
次の瞬間、何やら光った・・・
ボトッ!
地面に転がったのは兵士たちの首だった。
一瞬にして五人もの首が飛んだ。
おのれとばかりに次々と襲いかかるが、同じく首は宙を舞う。
次も、その次もそうだった。
少女の剣が動いた様子はまるでない、少女の太刀筋が早いのか、それともまったく別の方法で殺っているのか。
すでに少女は、虫でもつぶすように首をはねている。
少女の敵でないと言った方がよいだろう。
しかし、少女はまるで何かに取り付かれているかのごとく切っている。
彼女からは、何の感情すら感じられないのだ、怒りや悲しみといった感情が・・・全くと言っていいほど・・・
すべて、一撃で首を落とした。
少女は、首以外はけして切らなかった。
「怯むな、小娘一人倒せぬでどうする」
そう言った、男も次の瞬間首と胴が離れていた。
「弓だ、弓で射るんだ」
今度は、弓が一斉に少女向けて放たてれる。
「や、殺ったか」
少女は、針鼠になっているはず・・・
しかし、矢は少女に当たることなく地に落ちた。
明らかに魔法の力だった。
再び、首は宙を舞う。
「こいつ、化け物か」
いつしか兵士たちは逃げ腰になり、ついには逃げだしたが少女は逃がそうとはしない。
目のも止まらぬ早さで少女は動き、残らず首をはねた。
広場は、まさに地獄とかしていた。
しかし、切られた誰一人として自分が死んだと気づいた者はいなかった。
痛みすら感じられないのだから・・・
少女の太刀筋が見えないのである、彼らのような並みの者には見えない。
そうとうの使い手でも微かに見える程度で人間の領域は越えているとも言ってもよい。
すでに、何十人と切っている剣ですら刃こぼれ一つない。
少女の剣技のすさまじさがわかる。
確実に、正規の教えを受けている。それだけでもない、自らによって新たな剣術としている。
少女の動き事態人間の領域ではない。
ただ、少女は眉一つとして表情は変わらない。
いつしか、少女の白いドレスも赤く返り血で染まっていた。

数刻の後、少女は建物の中に入った。
城を落とした将を見つけに・・・
それは案外と早く見つかった。
が、首が飛ぶまではそれほどかからなかった。
「き、・・・」
それで、首が飛んでいたのだから・・・
格段的な実力差があった。
国では、それなりの実力を持っていたんだろうが、その少女相手には、赤子同然だった。
もちろん、そこらにいる兵士たちも同じだった。
少女の敵ではない。
すでに、少女は一〇〇人以上を切り捨てていた。
途中にも、何人かの兵士がいたがそれもすべて、首をはねた。
少女は、再びふらふらと歩き、いつしか一つの扉の前に立ち止まっていた。
扉には鍵が掛かっていたが、どこで手にいれたのか少女は、自分のポケットに入っている鍵の束を取り出すと、鍵を開けた。
扉を開け、少女は静かに部屋へ入る。
その部屋は王の私室のようで、普通の部屋とは調度品の質が違っていた。
かなり広い部屋で、応接間のようでソファーがおいてある。
又、左右に部屋があり右の部屋は寝室になっており、左の部屋は書庫になっている。
少女は、寝室へ入って行き見たものはベットの上で倒れている男の遺体だった。
死んでからそれほどたってないらしく血は固まっていない。
短剣で喉を刺し自害している。
喉に突き刺した短剣には、国の印である紋章が刻まれている。
その紋章は、少女の指輪に刻まれているそれと同じものである。
そこに倒れているのは、プラム城の国王ガレト=アナトその人である。
それを見た少女の表情が初めて変わったがすぐに元に戻った。
しばらく、その場で国王の遺体を眺めていて、ふとベットの横に目を向けて説き、台の上に一通の手紙があるのを見つけた。
遺書のようだった。
王、いや父が娘に宛てて書いてあるようで、表に『最愛なる娘ミーナ』へと書かれている。
少女は、それを取ると自らの懐にしまいこんだ。
そして、国王を仰向けにし短剣を王の喉から引き抜くと血渋きが少女の顔に飛ぶが、気にした様子もなく、少女は王の顔に付いている血を布で拭き取り、布団をかぶせ、自らは髪を後ろで束ねると肩のあたりから短剣で切り捨てた。
切った自分の髪を王の手の中へ、短剣の変わりに握らせた。
その短剣は、布で包むと自らの腰の帯に結びつけた。
そうして、少女は部屋を出ると部屋の鍵を元のように閉め、再び城内をゆっくりとまわった。
そして、城内で王宮兵の遺体を見つけるとそのものたちを静かに王座の間に運んだ。
全兵総勢三〇〇人の遺体が、丁寧に並べられた。
最後まで、国を守ろうとした兵士たちへの少女からの、伴らいのようでもある。
総勢三〇〇名は、誰一人と逃げる者なく勇敢に戦い散って逝った。
後に、家族の者は自らの夫や子を見つけだしたという、誰一人と残る者はなく、見つからなかった者もいないという。
それらを、すべて済ませると城の入り口で城へ戻ってくる兵士の首をはねた。
夜になると、残りの者を見つけては首をはねていった。

翌日には、少女の姿は城にはなかった。
すでに、夜の間にすべてを終わらせていた。
町の人々は絶句した・・・するしかなかった。
城門の外に、城を攻め落とした敵国セナート軍の兵士総勢二〇〇〇名の身体が山のように一本の剣とともに積み上げられていた。
剣は、少女が振るいすべての兵士の首を切ったその剣である。
名剣でも魔力を帯びた剣ではないただの一本の剣。
血がかたまり剣にこびり付いていた。
又、他の兵士の帯びてた剣は兵士たちの腰にはなかった。
夜中、町の人々誰一人と気づいてはいなかった。
また、王宮に家族を探しに出かけた者は王座の間に並べられている王宮兵たちを見つけた。
翌日、隣町のセナートの兵士がきてそれらを収容したが首は一つも見つからなかったと言う。
身体は首が無いだけで他には傷はない。
しかし、首はどこにもない。
地を掘り返しても、水の中を探しても見つからなかった。
そう、首だけは一つとして見つからなかった・・・
剣も見つかりはしなかった。
砂鉄の山が一つ見つかっただけだった。
それが、剣の成れの果てだった。
遺体は国へ運ばれたが確認できた者はほとんどいなかった。
死神の行為だと言われたところから、後にこの戦争を「首狩り戦争」と呼び後々まで語られている。
それはこう語られる・・・
『死神が現れ善を救い悪を滅した。死神は首を奪い、首無き屍は山のごとくつまれ流れ出た血は滝のごとく流れ、川は赤く染まった』と言われている。
この後、数十年はプラム城には主のいない城となった。もちろん、役人すらいない。
数日後、セナート国はこの国の統治を完全に放棄した。
この後、数百年間プラムは自治統治が行われている。

少女は、その有り様を再び山の上で眺めていた。
切った髪は後ろで整え、近くの小川で血を洗い流し、王宮内から持ってきた新しい服に着替え、腰にはあの短剣を帯びていた。
その少女の表情には感情が現れたいた。
少女からは気品すら感じられる。
悲しい目、しかしその目も空を自由に舞う鳥の姿を見たとき優しい顔に変わった。
「あははははは・・・」
少女は何かすっきりしたかのように笑っていた。
「がんばって探してるわね。見つかるわけないのにね・・・あはははは・・・」
悲しみの笑いとも感じられた。
「いつか気が向いたら返してあげるわ、向いたらね・・・」
少女は、国王の遺書である手紙を広げていた。
「最愛なる娘ミーナよ・・・国の事は忘れるがいい自由に生きよ大空に飛ぶ鳥のように・・・私は最愛の妻のもとゆく・・・さらば我が娘ミーナよ・・・」
少女の目からは涙が流れていた。
「さようなら・・・」
手紙は、少女の手を離れるとなにもなかったかのように消え去った。
「お父様・・・」
少女は、涙を吹き元の表情にもどる。
そして、大空を眺め微笑むと、
「はっ」
少女は空へ舞い上がると、一匹の大きな鳥へと姿を変えた。
少女の姿は、白く輝いている。
その鳥は、インフェニットと呼ばれる幻の鳥で、白い羽根を持つ美しい姿で、美しい心を持ち、無限の知を持ち強大な魔力を有するもので、体長は一〇mを越え、その実力は神にも匹敵するといわれる。
おとなしいが、怒るとこれほど恐ろしいものはなく、その魔力で滅ぼされた者もいるという。
この一〇〇〇年近く一度も目撃されては幻の鳥・・・
少女がすっが他を変えたインフェニットの大きさは五mぐらいの大きさだが、その美しさは素晴らしいものである。
幻の鳥と呼ぶにふさわしい鳥である。
日の光が、反射しさらに美しく見せる。
今、少女はそれになり大空へと飛び立った。
少女が姿を変えた幻の鳥インフェニットは、町の上空をしばらく舞うと、南の空へと飛び去っていった。

数日後、セナート国がプラムの統治を放棄した日、二つの賞金首を出した。
まず一つはプラム国王の一人娘、王女のミーナ。
髪は金髪で腰まであり、身長は一二〇兌紊琉谿貂个之術と魔術の達人。
そして、もう一人は名もない誰ともわからぬ首狩りの死神だった。
それぞれ、高額の賞金がかけられたが二人を見つけだした者はいない。
もし、見つけたものがいても二人を倒せはせず返り討ちになるのがいいところであろう。
それはわからない・・・
少女たちを探しに出て帰ってきた者はいないのだから・・・
ただ、セナート国は、国王が病に倒れすでに五年の月日がすぎていた。
国王の意志とは違う何かがあった。

かくして、その後あの少女は数刻の間完全に歴史から消えた。
王女ミーナも同じく数刻の間消えている。
三年後セナート城の城門前に二〇〇〇ものの首が並んだと言われている。
ちょうどそのころ、セナート国の王子たちが忽然と病に倒れ、あっけない死を告げている。
すべては、王女ミーナの復讐だとも言われるが世間に知られるミーナは人々に優しい王女だったいう。
死神、いやあの少女とはかなり似ても似つかない。
事実、すべては謎のままである。
王女ミーナが再び人々の前に出てきたは五年後であるが、プラム国はこの後二度と歴史上には現れてはいないが、王女ミーナの名だけは残されている。
城落の時ミーナがいるならば滅びはしなかっただろうが、そのときいなかったなどすべてが謎となる。
後にミーナが神として人々に信仰されていることをつけ加えておこう。
歴史の見せる一ページである。
謎は謎を呼ぶ。

少女の立っていたその岩山にはなにもなかったかのように、きささやかな春の風が吹いていた。
すべてを、知ってるかのごとく・・・

(終わり)


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